Research Results 研究成果

気候変動は東南アジアの熱帯雨林樹木の開花・結実頻度を減少させる

2022.04.22
研究成果Physics & ChemistryEnvironment & Sustainability

概要

 東京都立大学大学院都市環境科学研究科の沼田真也教授、九州大学理学研究院の佐竹暁子教授、広島大学大学院先進理工系科学研究科の保坂哲朗准教授、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の櫻井玄上級研究員らのグループは、マレーシア森林研究所に保管されていた35年を超える樹木の開花・結実フェノロジー(生物季節) 1)データと気象データから開花・結実を予測する統計モデルを構築し、将来の気候変動が東南アジア熱帯雨林の開花・結実頻度を減少させる可能性があることを明らかにしました。

ポイント

  • 東南アジアの非季節性熱帯雨林では他地域では見られない開花・結実フェノロジーが見られるが、気候変動が開花・結実フェノロジーに対してもたらす影響については不明。
  • 多くの熱帯樹種(41科210種)の長期開花・結実記録(> 35年)をデータ化し、数理モデルと複数の気候変動シナリオから、将来の気候変動が東南アジア熱帯雨林の開花・結実フェノロジーに与える影響を検討。
  • 58%のフタバガキ科 2)植物が低温と乾燥に応答して開花。東南アジアにおける複数の地域において、一部の種グループは開花頻度が減少すると予測。

研究のアプローチ

用語解説

1)フェノロジー:生物季節と訳され、植物の発芽・開花・落葉や動物の渡りなど、季節の移り変わりに伴う生物の行動や状態の変化を示す。

2)フタバガキ科:主に東南アジアに分布する常緑高木で、約15属600種が含まれる。多くは木材資源としても有用で、日本ではラワン材として知られる。

論文情報

論文タイトル:“Impacts of climate change on reproductive phenology in tropical rainforests of Southeast Asia.”

著者名:Numata, S., K. Yamaguchi, M. Shimizu, G. Sakurai, A. Morimoto, N. Alias, N. Z. Noor Azman, T. Hosaka, and A. Satake

雑誌名: Communications Biology

DOI: https://doi.org/10.1038/s42003-022-03245-8

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