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Research Results 研究成果

哺乳類の多様で複雑な臼歯は単純な原理から生じる

~草食は縞模様、肉食は水玉模様~ 2022.06.15
研究成果Life & HealthMath & Data

ポイント

  • 数理モデルを用いてマウスの上顎、下顎臼歯の形成パターンを再現しました。
  • 上下顎の臼歯の形態形成をシミュレートし、ストライプ(縞)模様のモデルでは上顎臼歯が、スポット(水玉)模様のモデルでは下顎臼歯がうまく形成されることを示しました。
  • 哺乳類の様々な臼歯の形は、形態形成メカニズムにおけるスポット模様とストライプ模様の柔軟な切り替えにより可能となり、食性の多様化(草食・肉食に特化した動物の出現)につながったことが示唆されます。

概要

 独立行政法人国立科学博物館(館長:篠田謙一)の森田航研究員(人類研究部人類史研究グループ)、九州大学の三浦岳教授らからなる研究グループは、マウスの上顎と下顎の臼歯の形成パターンが、それぞれストライプ(縞)模様、スポット(水玉)模様を生み出す数理モデルにより再現できることを示しました。進化の過程で草食や肉食に特化したものが生まれ、哺乳類の食性が多様化していったこととの関連が示唆されます。本研究成果は2022年6月14日に国際科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。

図1(上)活性因子と抑制因子が拡散しながら相互作用することで、ストライプ模様もしくはスポット模様が生じる。 (下)哺乳類の食性とストライプ・スポット模様の違いとの対応関係

研究の背景

 哺乳類は様々な環境に生息し食性も多様であるため、バラエティーに富んだ歯の形を持っています。歯は、様々な遺伝子が相互作用することにより形成されます。しかしその作用はあまりに複雑なので、発生過程を詳らかにすることはできていません。1952年英国の数学者アラン・チューリングは、複雑な生物の形の発生過程を、相互作用しながら拡散していく活性因子と抑制因子というたった二つの因子によって大胆なモデル化を試みました。この数理モデル(数式により現象を単純化したもの)は、チューリング・モデルと呼ばれ、一定のアルゴリズムに従って複雑な形態が自然発生的に生じます。その後の研究により、様々な生物の形態形成のモデル化が行われています。
 平面でのパターン形成において、チューリング・モデルでは、大まかにストライプ(縞)模様、もしくは、スポット(水玉)模様のどちらかが生じます。今回私たちの研究グループは、一般的な実験動物であるマウスの上下の臼歯が、それぞれストライプ模様、スポット模様に対応して形成されているのではないかと仮説を立てモデル化を試みました(図1上)。

図2 上顎臼歯(上)と下顎臼歯(下)の発生過程のモデル化

研究の内容

 まず、上下の臼歯の形態がストライプ模様とスポット模様のどちらに近いのかを示すため、3次元モデルから形状の違いを抽出して統計的に検証し、上顎臼歯はストライプ模様、下顎臼歯はスポット模様に対応することを示しました。次に、マウスの歯胚の成長速度を測定し、この実際の成長速度をもとに、チューリング・モデルをベースにコンピュータ内で上下顎の臼歯の形態形成をシミュレートしました。そして、ストライプ模様のモデルでは上顎臼歯が、スポット模様のモデルでは下顎臼歯がうまく形成されることを示しました(図2)。
 このようなマウスで見られた上下の臼歯の形態形成パターンの違いは、哺乳類の食性の違いにも対応し多様な形態を生じさせた要因になったことを示唆します(図1下)。哺乳類は進化の過程で、咬頭(歯の中で山のように高まった部分)の数が少なく単純な形の歯から、多数の咬頭が複雑に配置された歯へと変化していきます。このように複雑で発達した稜線を持つ臼歯形態が草食性を可能にし、哺乳類の適応放散へとつながります。本研究が示した、歯の形態形成メカニズムにおけるスポット模様とストライプ模様の柔軟な切り替えが哺乳類の臼歯に見られる様々な形を生み出し、食性の多様化(草食・肉食に特化した動物の出現)をもたらしたと考えられます。

 本研究では、歯の形態形成メカニズムで働く因子を大まかに活性因子と抑制因子の2つに分けてモデル化しました。このモデル化により歯の形態学的な分類の再検討や、形態の違いがどのような発生メカニズムに基づくのかについての研究が進展することが期待できます。いくつかの候補はわかってきていますが、具体的にどの遺伝子や、歯の形成に使われるタンパク質が、モデル上の活性因子と抑制因子に割り振られるのかの検証は今後の検討課題です。哺乳類進化の過程では歯種の分化も生じるため、歯種の違いとストライプ・スポットの違いがどのように関わっているかも今後明らかにしていきます。

論文情報

表題:Stripe and spot selection in cusp patterning of mammalian molar formation
著者:Wataru Morita, Naoki Morimoto, Keishi Otsu, Takashi Miura
掲載誌:Scientific Reports, 41598 Article number: 13539 (2022)
DOI:10.1038/s41598-022-13539-w

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