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ミズワタクチビルケイソウが外来侵入種であることを証明

 
〜環境DNAによる迅速・高感度な検出系開発に期待〜

公開日:2022.06.16

 

研究成果 Technology Environment & Sustainability

ポイント

  • 近年日本の河川で異常発生している珪藻が、外来種のCymbella janischii(和名:ミズワタクチビルケイソウ)であることを分子系統学的に証明しました
  • 遺伝子解析は、本種が近年国内に侵入し、急速に拡散したことを示しました
  • 本研究で得られた遺伝子情報を利用して、環境DNA(※1)による迅速・高感度な検出が可能になると期待されます

概要

 九州大学大学院工学研究院 附属環境工学研究教育センターの鵜木(加藤)陽子 学術研究員を代表とする研究チーム(東京学芸大学教育学部 真山茂樹 名誉教授、(有)河川生物研究所 洲澤譲、九州大学大学院農学研究院 栗原暁 助教、島崎洋平 准教授、群馬県東部農業事務所 久下敏宏 博士らで構成)は、近年日本の河川で異常発生している珪藻が、Cymbella janischii(和名:ミズワタクチビルケイソウ)という外来侵入種であり、急速に拡散されたことを遺伝子解析によって明らかにしました。
 研究チームは、本研究で明らかにした本種の国内の遺伝子配列を利用して、環境 DNA による迅速・高感度な検出系の開発を進めており、本種のモニタリング・拡散防止・在不在情報から生態・生理の解明に役立つものと期待しています。
 本研究成果は、日本学術振興会科学研究費 (JP19K06187)の支援を受けて行われ、2022年6月1日出版の国際学術誌 BioInvasions Recordsに掲載されました。

図1:ミズワタクチビルケイソウが繁茂した河川の様子. 図2:ミズワタクチビルケイソウの顕微鏡写真. 写真内のバーは100 μmを示す。 図3:国内の遺伝子配列を元に作成した近縁種間の系統解析の結果. 系統樹の結果から、日本で近年問題になっている珪藻は遺伝的にも原産国アメリカのミズワタクチビルケイソウ(Cymbella janischii)であることが示唆されました。

用語解説

(※1) 環境 DNA
環境中に放出された生物由来のDNAの総称。近年のDNA分析技術の向上により、水や土壌、空気中に漂うDNAを解析することで、そこに居る(居た)生物をおおよそ把握することができるようになりました。

論文情報

掲載誌:BioInvasions Records

タイトル:Genetic evidence for the invasion of Cymbella janischii (A. Schmidt) De Toni, 1891 in Japan

著者名:Yoko Kato-Unoki*, Akira Kurihara, Toshihiro Kuge, Yohei Shimasaki, Yuzuru Suzawa, Shigeki Mayama(*責任著者)

DOI:10.3391/bir.2022.11.2.14

研究に関するお問い合わせ先

工学研究院附属環境工学研究教育センター 鵜木 陽子 学術研究員