Research Results 研究成果

毎⽇の温泉習慣が⾼齢者の「うつ」の少なさに関連

温泉の有効利⽤で気分障害の改善に期待 2022.12.21
研究成果Life & Health

ポイント

  • 温泉利⽤はじめ温熱療法は「うつ」含めた気分障害の抑制効果が期待されてきた。
  • 65 歳以上の⼤分県別府市⺠1 万⼈以上に対するアンケートにより、「うつ」の既往の少なさに毎⽇の温泉利⽤が関連していることが分かった。
  • 毎⽇の温泉習慣が気分障害の改善につながり、⾼齢者の「うつ」発症の予防に関連している可能性がある。

概要

 温泉利⽤は、硫化⽔素ガスなどによる科学的な直接作⽤、リフレッシュ効果による⽣物学的作⽤、温熱効果で⾎管が広がる物理学的作⽤により気分障害の抑制効果が期待されてきました。
 九州⼤学病院別府病院内科の堀内孝彦教授、前⽥豊樹准教授、⼭崎聡講師らは、65 歳以上の⼤分県別府市⺠1 万⼈以上に対するアンケートを実施し、「うつ」の既往の少なさに毎⽇の温泉利⽤が関連していることを⾒出しました。また、毎⽇の温泉習慣は気分障害の改善につながり⾼齢者の「うつ」発症の予防に有益となっている可能性があります。
 今回の発⾒は、温泉の有効な利⽤により⾼齢者の「うつ」発症の抑制に役⽴つことが期待されます。
 本研究成果はイギリスの雑誌「Complementary Therapies in Medicine」に2022 年12 ⽉13 ⽇(⽕)にオンライン公開されました。

(図1)⾎の池地獄(⼤分県別府市野⽥、⽇本最古の天然地獄)

用語解説

(※1)ロジスティック回帰分析は、いくつかの要因から「2 値の結果」が起こる確率を説明・予測することができる統計⼿法で、多変量解析の⼿法の1つです。

論文情報

掲載誌:Complementary Therapies in Medicine
タイトル:Association between habitual hot spring bathing and depression in Japanese older adults: A retrospective study in Beppu.
著者名:⼭崎聡、前⽥豊樹、堀内孝彦
DOI:10.1016/j.ctim.2022.102909