Research Results 研究成果

内⽪−造⾎転換の新規メカニズムを解明

水チャネル分⼦が促進する液胞形成が鍵 2023.06.15
研究成果Life & Health

ポイント

  • ⾎管内⽪細胞から造⾎幹細胞を⽣み出すしくみの⼀端が明らかに
  • ⽔チャネル分⼦アクアポリンが内⽪−造⾎転換に関与することを初めて証明
  • 細胞⽣理・機械刺激受容の観点からの造⾎発⽣メカニズム解明へ期待

概要

 造⾎幹細胞は、胚発⽣期に⾎管内⽪細胞群の⼀部が分化転換することによって⽣み出されます。この現象は「内⽪−造⾎転換」と呼ばれます。内⽪−造⾎転換は、胚性造⾎と成体型造⾎(⾻髄造⾎)を直接的に繋ぐ重要な分化転換現象です。内⽪−造⾎転換の際、扁平な⾎管内⽪細胞から球状の造⾎幹細胞への劇的な形態変化がおこります。従来の内⽪−造⾎転換に関する研究は、遺伝⼦発現制御メカニズムの解明が先⾏する⼀⽅で、形態変化に関してはどのようなしくみが働いているのか未解明でした。
 九州⼤学⼤学院医学研究院の佐藤有紀准教授らの研究グループは、⽔チャネル分⼦アクアポリン(AQP)を介した⽔分⼦の流⼊が内⽪細胞内の液胞形成を促進し、その結果、細胞の球状化が⽣じることを明らかにしました。この発⾒により、内⽪−造⾎転換の際の細胞形態制御メカニズムが初めて解明されました。
 液胞形成の役割は植物細胞でよく知られていますが、動物細胞での役割はあまり知られていません。我々の研究から、動物細胞において液胞が細胞の分化転換現象に関わることが判明しました。今後、この液胞の機能を詳細に解析することで、従来とは異なる⾓度からの内⽪−造⾎転換現象の理解が進むことが期待されます。
 本研究成果は国際学術誌「Development」に2023年6⽉5⽇(⽉)に掲載されました。

図1 造⾎性⾎管内⽪細胞の細胞膜と液胞膜に局在する⽔チャネル(AQP1 背側⼤動脈(※3)の腹側部を構成する⾎管内⽪細胞が内⽪−造⾎転換をおこす。これらの 造⾎性⾎管内⽪細胞は液胞(*印:緑⾊蛍光タンパク質eGFP 陰性の領域)を有する。AQP1 は造⾎性⾎管内⽪細胞の細胞膜(PM)と液胞膜(⽮頭)に局在する。)

図2 造⾎性⾎管内⽪細胞の球状化メカニズム(造⾎性⾎管内⽪細胞は複数のAQP を介して⽔分⼦を取り込むことで液胞を拡張して球状化 する。球状化の過程で造⾎幹細胞(もしくは造⾎細胞)に分化転換し、⾎管壁から遊離して ⾎流循環する。)

論文情報

掲載誌:Development
タイトル:Aquaporin regulates cell rounding through vacuole formation during endothelial-tohematopoietic transition
著者名:Yuki Sato, Mugiho Shigematsu, Maria Shibata-Kanno, Sho Maejima, Chie Tamura, and
Hirotaka Sakamoto
D O I :10.1242/dev.201275

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