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第1回「東アジアの交流と文学」国際シンポジウム「『春水』手稿と日中の文学交流――周作人、冰心、濱一衛」を開催

2018.02.23
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  平成30年2月6日(火)、第1回「東アジアの交流と文学」国際シンポジウムが新中央図書館で開催されました。今回は「『春水』手稿と日中の文学交流―周作人、冰心、濱一衛」をテーマとして、本学附属図書館濱文庫で発見された『春水』手稿本をめぐって、国内外の12名の研究者が最新の研究成果を発表しました。
 昨年6月、濱文庫に所蔵される『春水』手稿が、中国現代文学を代表する女性作家・冰心(1900~1999)による1922年の自筆原稿と確認され、北京大学教授の周作人から濱一衛(のち九大教授)に贈られた経緯も判明しました。これを契機として、周作人・周豊一父子と濱一衛の間でかわされた書簡が見つかり、さらに周作人から濱一衛に贈られた書4点が九州大学附属図書館に寄贈されました。これらの新資料はシンポジウム会場で初公開されました。
 周家と濱家のこうした附属図書館に対する多大な貢献に対して、シンポジウムにさきだち宮本一夫館長より、御令孫・周吉宜様と御息女・藤本康子様に感謝状が贈呈されました。また中国駐福岡総領事館の何振良総領事からも祝辞を賜りました。
 シンポジウムにあわせて、28名の研究者が寄稿した「『春水』手稿と日中の文学交流――周作人、冰心、濱一衛」国際シンポジウム論文集(全3冊、554頁)を、日本語および中国語で刊行しました。中国現代文学および日中文化交流の研究成果を、九州大学から発信する論文集として学界の注目を集めることが期待されます。
  なお、「東アジアの交流と文学」国際シンポジウムは、九州大学QRプログラム・特定領域強化プロジェクト「人社系アジア研究活性化重点支援」の採択を受けて、今年度と来年度にあわせて3回のシンポジウム開催が決まっています。

中国語で開会の挨拶をする宮本一夫附属図書館長 

何振良・中国駐福岡総領事の祝辞

1939年に周作人より濱一衛に贈られ、このたび九州大学附属図書館に寄贈された書4点

周作人・豊一父子と濱一衛が1930年代から1980年代までかわした書簡の数々

感謝状の贈呈。左から周作人の御令孫・周吉宜さん、濱一衛の御息女・藤本康子さん、宮本一夫館長

周吉宜さんより藤本康子さんに中国伝統工芸の刺繍が記念品として贈られた

前列左より周吉宜さん、宮本一夫館長、藤本康子さん後列は基調講演の招待学者。
左から小川利康・早稲田大学教授、趙京華・北京第二外国語学院教授、李莉薇・華南師範大学准教授、魯普文・冰心文学館研究員。周吉宜・元中国現代文学館副館長も「周作人と冰心:早期冰心女士と我が祖父の往来」と題して講演した。

お問い合わせ

言語文化研究院 教授 中里見敬
Mail:naka★flc.kyushu-u.ac.jp
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