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九州大学大学院比較社会文化研究院寄附講座「ワールドスキャン地理情報解析講座」は、同院附属浅海底フロンティア研究センター(菅浩伸主幹教授)及び株式会社ワールドスキャンプロジェクトと共同で進めてきた調査・研究を発展させる新たなプロジェクトを始動しました。
これまで、本プロジェクトグループは、マルチビーム測深やドローンを使って海中の地形や文化遺産等を撮影し、フォトグラメトリ技術を用いてデジタルデータ化してきました。
今回始動する新たなプロジェクトでは、浅海底フロンティア研究センターの知見と技術協力を得ながら、これまでの研究成果や開発してきた技術を応用して、貴重な“自然資源”であるサンゴ礁をスキャニングします。現在、世界のサンゴ礁の多くが人間の活動(開発等)によって脅かされています。サンゴ礁の「ありのままの姿」をデジタルデータ化することで、現存するサンゴ礁の生態系をそのままかつ永久的にデジタルの世界で保存することができます。
スキャニング調査では、浅海底フロンティア研究センターの菅教授がマルチビーム測深調査等を行って作成した高解像度海底地形マップを頼りに、菅教授をはじめサンゴ礁地形に詳しい研究者らがダイビングして撮影を行います。このスキャニング作業には、通常のカメラのほか、株式会社ワールドスキャンプロジェクトと共同で開発した水中ドローン搭載の撮影システム「МURAKUMO(ムラクモ)」も使用します。撮影した数千~数万枚の写真をフォトグラメトリ技術で繋ぎ合わせて、3Dモデルを作成していきます。(「МURAKUMO」は第5回インフラメンテナンス大賞特別賞を受賞)
更に今年の夏、株式会社ワールドスキャンプロジェクトがメタバースを開設。3DとVRの技術を使ってバーチャル空間にサンゴ礁を創り上げ、『サンゴ』を世界中の人々が誰でも楽しめるツールへと発展させます。本プロジェクトを通して、サンゴ礁をはじめ貴重な自然資源について一般の方々に広く認知してもらうことで、サンゴ礁保全や地球環境保護への意識を啓発し、自然資源を未来へつなげる活動に発展させることを目指しています。
担当教員からひとこと
私たちがこれまで取り組んできた『マルチビーム測深やドローンを使って海底の地形等をスキャンし、フォトグラメトリでデジタルデータ化する』技術を、貴重な“自然資源”の保護に役立てたいと考えています。
九州大学大学院比較社会文化研究院寄附講座ワールドスキャン地理情報解析講座
准教授:三納正美
広報:松尾香那
電話:092-802-5690
Mail:mailto:seafloor★scs.kyushu-u.ac.jp
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