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急性及び慢性肝不全は、様々な臓器の障害を引き起こし、死に至る疾患です。
日本で年間肝移植が必要な患者数は約2,200人ですが、年間日本で行われている肝移植数は生体肝移植400例弱、脳死肝移植100例弱と500例に満たず、多くの肝不全患者は肝移植の機会なく死に至っています。米国では毎年9,000例を超える肝移植が行われていますが、それでも肝移植の機会なく死に至る患者は多数存在すると報告されています。
九州大学では、1996年から生体肝移植を開始し、最近では毎年50例前後の肝移植を施行しています。なかには、関東・関西などから移植を受けに九大病院を受診する患者さんもいます。1年間における国内の臓器(肝臓腎臓膵臓心臓合わせた)移植症例数では、近年、九州大学が最も多い症例数を誇ります。(図1)。
2023年2月7日で九州大学病院における肝移植施行数が1,000例に達しました(図2)。内訳は生体肝移植930例、脳死肝移植70例です。日本における生体肝移植数は2021年までで10,121例、脳死肝移植が715例ですので、九州大学で全国の約10%の肝移植が行われています。最近の症例の肝移植後10年生存率は約80%と良好な成績です。(図3)
今後も、脳死下臓器提供の啓発活動を継続し、人工肝臓に向けた研究を発展させ、一人でも多くの患者さんの救命に寄与していきます。
図1【 国内の臓器移植症例数 トップ7施設(国公立) 】
1年間における肝臓腎臓膵臓心臓合わせた臓器移植症例数は、近年、九州大学が1番多く、東京大学や京都大学などを上回る。
図2【 九州大学における肝移植数年次推移 】
図3【 九州大学における肝移植の成績 】
全国平均よりも高く、良好な成績である。
【先生からのコメント】 |
九州大学病院第2外科医局
Mail:2gikyoku★surg2.med.kyushu-u.ac.jp
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