九州大学「第九」日本人初演100年記念事業
日本で愛され続ける『第九』
100年にわたる歴史の始まりが九州大学に―
ベートーヴェン作曲の交響曲第9番は、「歓喜の歌」あるいは「第九」として親しまれ、国民的楽曲として年末を中心に日本各地で演奏されています。本曲は1824年にウィーンで初めて演奏されましたが、その100年後の1924年1月26日、九大フィルハーモニー・オーケストラの前身である九州帝国大学フィルハーモニー会が、昭和天皇の御成婚を祝い第4楽章を演奏しました。これが日本人による「第九」初演となりました。さらに同年11月に 東京音楽学校(現、東京藝術大学音楽学部)のオーケストラが日本人で初めて「第九」の全楽章を演奏しました。
2024年は「第九」初演から200年、日本人初演から100年にあたる年です。九州大学ではこれを記念して「第九」の特別演奏会とともに、「第九」や大学が果たした文化創造に関する講演会や展示会、記念講義などを開催。皆様の心を動かす企画を実施しました。
事業内容
特別演奏会
「九大フィルハーモニー・オーケストラ第九特別演奏会」を2024年9月16日(月・祝)、アクロス福岡シンフォニーホールにおいて開催し、九大フィルが、バッハ・コレギウム・ジャパンの首席指揮者かつ本学客員教授でもある鈴木優人氏の指揮のもとで「第九」の全曲を演奏するとともに、最近の調査で明らかとなった100年前の演奏を再現しました。
日時:2024年9月16日(月・祝) 13:00開場、14:00開演
会場:アクロス福岡シンフォニーホール
指揮:鈴木優人(指揮者・鍵盤奏者・九州大学客員教授
独唱:澤江衣里(ソプラノ)、布施奈緒子(アルト)、山本耕平(テノール)、加藤宏隆(バリトン)
プログラム:
第1部 100年前の「摂政宮殿下御成婚奉祝音楽会」再演
結婚行進曲「真夏の夜の夢」作品61より (メンデルスゾーン)
「新編奉祝歌(「第九」第4楽章の一部替歌)」再演
第2部 「第九」全曲演奏
交響曲第九番 ニ短調作品125(ベートーヴェン)
当日の様子はこちらからご覧いただけます。
講演会
鈴木優人氏が「第九」演奏の解説を行うほか、渡辺裕氏、片山杜秀氏、豊田泰久氏など第一線の専門家が音楽、音響や明治大正期での西洋文化の社会受容と大学が果たした役割などについて解説する講演会を全6回実施しました。
以下よりアーカイブをご覧いただけます。
第1回 2024年3月20日(水・祝)「キックオフ講演会~九州大学の社会文化活動~」
松村晶(九州大学名誉教授・久留米工業高等専門学校校長)
医学部百年講堂
第2回 2024年4月21日(日)「九大フィルの《第九》上演と「替え歌文化」~明治大正期日本のもうひとつの西洋文化受容」
渡辺裕(東京大学名誉教授)
医学部百年講堂
第3回 2024年5月19日(日)「大学オーケストラと近代日本」
片山杜秀(慶應義塾大学教授)
医学部百年講堂
第4回 2024年7月14日(日)「福岡における久保猪之吉の文化活動~「エニグマ」を中心として」
神谷優子(福岡市総合博物館文学・映像課(福岡市文学館)特別史料専門員)
西新プラザ
第5回 2024年9月14日(土)「指揮者から見たべートーヴェンの『第九』」
鈴木優人(指揮者・鍵盤奏者・九州大学客員教授)
人文系大講義室Ⅱ
第6回 2024年10月6日(日)「響け!オーケストラ~オーケストラを輝かせるコンサートホールの音響設計」
豊田泰久(音響設計家)
医学部百年講堂
史料展示
本学の大学文書館と東京藝術大学にはそれぞれ九大フィル創立以来の古い楽譜と創立者の榊保三郎教授が私有していた楽譜が各々1,000点近く保存されています。これらを精査したところ九大フィルが日本人初の「第九」演奏に使った楽譜が見つかり、謎だった演奏の全容が明らかになりました。これらの貴重な史料を公開展示しました。また、Webでも公開しています。
期間:令和6年6月10日(月)~ 8月4日(日)
展示写真数点を以下からご覧いただけます。
本展示は総合研究博物館の協力により実施されました。
特別講義
「『第九』と日本社会受容」「九大発文化創造」 の2テーマについて、学生向けの講義を実施しました。