仕事を通して「楽しい」気持ちを届けたい
芸術工学部 2020年卒業
芸術工学府 デザインストラテジー専攻 2024年卒業
俵 綾那
大日本印刷株式会社


―大学ではどのような研究をされていましたか?
俵 学部でグラフィックデザイン、大学院ではコミュニケーションデザインを専攻しました。修士課程では、留学生と日本人学生のコミュニケーションを補助するボードゲームを作成しました。人と人のコミュニケーション、特に異文化コミュニケーションに関心を持っていました。
―どんな大学生活を過ごされましたか?
俵 大学院に在学中、オランダとドイツに半年ずつ、計1年ほど交換留学をしました。子どもの頃から海外に興味があり、デザインを学びながら現地で生活してみたかったからです。多くの貴重な体験をできた一方で、海外の人でも普段抱えている悩みごとなどは私と同じと分かり、「みんな同じ人間なのだ」と偏見を取り払うことができました。
―今の会社を志望した理由は何ですか?
俵 大学で学ぶ中で、自分が手を動かしてモノを作るデザインもいいけれど、その前段階でなぜ・何を・誰に対して作るのかといったことを考えるデザインが好きだと感じ、モノづくりが基盤にある今の会社を選びました。また、幅広い事業を手掛けている会社で、違う事業部への異動を希望できる制度があることも魅力でした。

―現在はどのような仕事をされていますか?
俵 コンテンツ・XRコミュニケーション本部に所属し、メタバースやAIを活用した企画でプロジェクトマネージャーを務めています。今はAIのスタートアップ企業と協業し、新しいサービスの企画に携わっています。また、大阪・関西万博にはアプリで体験できるバーチャル会場があり、来場者はアバターとして展示やイベントを楽しめるのですが、そのパビリオンの一つにプロジェクトマネージャーとして参加しました。元々、人の「楽しい」という気持ちをデザインするのが好きで、自分も人も楽しめる仕事をしていきたいです。
―休日は何をしていますか?
俵 自宅でペンタブレットを使い、オリジナルのキャラクターを描きます。大学時代の友人と美術館や博物館、展示会などに出掛けることも多いです。
―九州大学を目指す受験生や在校生にメッセージを。
俵 芸工は珍しい学部なので、趣味嗜好が近く、気の合う人がたくさんいると思います。私は芸工の友人達とお花見兼スケッチ大会をして、その話を同僚にしたら、すごく驚かれました。絵を描く仲間ばかりで、自然にスケッチしようという流れになったのですが、そのような環境は特殊で恵まれていたと社会に出て気づきました。大学で出会う友人は貴重なので、ご縁を大切にしてください。

聞き手:山田 龍輝 芸術工学府 人間生活デザインコース 修士2年
研究室でお世話になっていた頃、後輩の多様な研究にもその知識の幅の広さで多くのアドバイスをしていただきました。
現在も、自分軸を大切にしながら様々な事業に関わる俵さんを知り、自分も研究を軸にしつつ、自身の興味に素直に積極的に関わろうと思いました。
※本内容は「九大広報131号(令和7年7月発行)」に掲載されています。学年などは当時のものです。