西村 拡

サークルから起業し、AIで社会課題を解決

理学部化学科2021年卒業
理学府化学専攻2023年修了

西村 拡

GLEAP株式会社 取締役CTO

―大学ではどのような研究をされていましたか?

西村 理論化学・計算化学という分野で、コンピュータを使い、計算時間を短縮するためのアルゴリズムの研究を行っていました。

九大の吹奏楽部に所属し、指揮者をしていた西村さん。九州の指揮者コンクールで3位に入賞したこともあるのだそう

―どんな大学生活を過ごされましたか?

西村 2年次に受講したプログラミングの授業が面白く、他科のプログラミング演習も履修していました。3年次に学内でプログラミングサークルを立ち上げ、「GLEAP」の副代表に就任し、ピーク時は100人規模で、講習会や企業案件など積極的に活動しました。中高生向けのプログラミング教室を行ったときも、やりがいを感じました。

―今の会社を設立された理由を教えてください。

西村 九大生のチームで新型コロナワクチン接種の予約サイトを作り、起業を決意しました。コロナ禍で対面でのミーティングができず、オンラインで意思疎通しながら、非常にタイトな納期でサイトを作り上げました。
そして、自分たちが作ったものが実際に社会で使われ、人の役に立ち喜ばれるのを目の当たりにしました。
お客様の近くで、自分のやったことが誰かのためになると実感できる仕事をしたくて、2023年にサークルの代表と会社を立ち上げました。
設立の際は、九州大学ロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センターの支援が心強かったです。

―現在はどのような仕事をされていますか?

西村 AI技術を活用したソフトウェア開発とシステムインテグレーションサービスを提供しています。顔認証・特徴認識システムは大阪・関西万博で採用され、パビリオン内で実証実験を行いました。また、糸島市・九大・民間企業が連携して進めている「糸島サイエンス・ヴィレッジ」にも参画しています。まちづくりにAIなどの最先端技術を研究実装する役割を担い、社会課題を解決し、より快適で豊かな社会づくりに貢献します。

趣味のボードゲーム。
現在230種類ものゲームを所有

―休日は何をしていますか?

西村 ボードゲームが好きです。コロナ禍でも遊べるように「カタン」をデジタル化したのですが、全く面白くなくて。紙があってコマを動かし、人の温度感を直に感じることでボードゲームが成り立つと分かりました。趣味の音楽にも生演奏ならではの魅力があり、デジタルでは置き換えられないアナログのよさがありますね。

―九州大学を目指す受験生や在校生にメッセージを。

西村 いろんなことにチャレンジして、本当にやりたいことを見つけてほしい。私は実験が好きで化学科に進んだものの、プログラミングに魅了されて今に至ります。九大は自分の領域外のことを学べる機会が豊富で、やりたいことをやれる環境があるので、どんどん活用したらいいと思います。

在学生

会社の設立や、現在の仕事内容が気になります!

聞き手:若林 拓斗 理学府 化学専攻 修士1年

理学府化学専攻を卒業されて、プログラミングを武器に起業されていることに驚きました。私と年齢が近いにもかかわらず、すでに仕事を通して自分の目指したい社会像や、やりたいことを持たれていて、インタビューしていて純粋に楽しく、視野が広がるいい経験になりました。

※本内容は「九大広報132号(令和7年12月発行)」に掲載されています。学年などは当時のものです。