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大学院の共通教育スタート -古川前内閣官房副長官による「リーダーシップ論」

2006.11.07
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学生に講義する古川前内閣官房副長官
熱心に講義を聴く学生たち
 九州大学は「人間性」「社会性」「国際性」など社会人としての基礎力養成を目的に、平成18年度後期から大学院(学府)共通科目を開講しました。
 11月6日(月)から8日(水)の三日間は、前内閣官房副長官の古川貞二郎氏による集中講義「リーダーシップ論」が開講されました。

 3日間6回にわたる講義のテーマは、「行政官生活を通じて思うこと」「組織の運用と人-トップダウンとボトムアップ」「内閣総理大臣とリーダーシップ」「国家の役割」「政と官のあり方」「社会の変化と皇室典範問題」など。
 初日の6日は、冒頭に「諸問題を学問的に分析するのではなく、一社会人、一行政官としての私の経験をもとにお話したい」と前置きしての古川氏の講義を、65名の様々な分野の大学院生たちが熱心に聴講し、最後には自然に拍手が起こりました。

◆ホームページ
http://mail.rche.kyushu-u.ac.jp/%7Ein-kyotsu/

  
(講義後の質疑応答から)
学生:事務次官会議等いろいろな場面で意見や考えをまとめなければならないときに心がけられたことは?
古川氏:二つある。一つは、国家、国民という視点から物事を考える。もう一つは、公平公正を原則とする。自分が楽をしようとか利益を得ようなどと思わない。難しいことだが。

学生:失敗談を。
古川氏:大学卒業時に国家公務員試験を受けて失敗した。もっと早くからしっかり人生を考えて準備しておくべきだった。しかし、翌年厚生省の面接までいって不合格になり、人事の担当者に再検討を直にお願いして内定を貰ったとき、「これで、若いときに働いた人が老後に楽ができる社会実現を目指して働くことができる」と思い、「逃げなければ、道は開ける」と確信した。

学生:これまでで最も難しかった仕事は?
古川氏:昭和天皇が病気で倒れられ、崩御されて大喪の礼と、昭和から平成に移るこの時期のことが最も大変な唯一無二の経験だった。敬愛する天皇のご回復を心から祈りつつ、一方で、竹下首相や宮内庁長官と万一の場合のことを密かに思案していた。こんなときはもう自分が自分でない。怖いものもない。これが終われば自分はどうなってもいいという気持ちになる。そうでなければ人が付いてこない。


古川貞二郎(ふるかわ・ていじろう)氏
 昭和33年九州大学法学部卒業。長崎県庁を経て厚生省入省。田中、三木、福田内閣時代に内閣参事官(国会担当等)として、中曽根、竹下、宇野内閣時代に首席内閣参事官として、総理官邸へ入る。厚生事務次官で退官の後、平成7年2月から平成15年9月まで、官のトップである内閣官房副長官として村山、橋本、小渕、森、小泉の五つの内閣を支え、その在任期間8年7ヶ月は歴代内閣官房副長官の最長在任記録となっている。