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公開日:2006.09.01

伊都キャンパスに世界初の準光速電子プリズム![09/01]

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伊都キャンパスにある超高圧電子顕微鏡 伊都キャンパスに設置されている超高圧電子顕微鏡は、物質透過能力、拡大率、像分解能など世界で最高のレベルをもっていますが、九州大学ではさらに新しい機能を付加し、物質をより高精度でより多元的に解析することを目指してきました。

 今回、新しい機能として九州大学が日本電子(株)とともに開発してきた世界初の電子エネルギー損失分光装置が完成し、超高圧電子顕微鏡に組み込みを行いました。この組み込まれた電子エネルギー損失分光装置は、電子を速さごとに選別(分光)することができ、元素の種類を識別したり原子の結合状態を調べるのに威力を発揮します。通常の電子顕微鏡にこの分光装置を組み込んだものはすでにありますが、超高圧電子顕微鏡へ組み込むのは
世界初です。

電子エネルギー損失分光装置は、4個の扇型の電磁石から構成され、そこで電子の進む向きが曲げられます。速度の遅い電子ほど大きく曲げられるので、速度毎に電子を分けることが可能です。これは、太陽光線が水滴に当たって7色の虹に分けられるのと似ています。


超高圧電子顕微鏡に解析素材を入れる前(テレビ取材) 電子エネルギー損失分光装置は、超高圧電子顕微鏡本体を解体して、中間レンズと投影レンズの間に組み込まれました。これにより電子顕微鏡本体は背丈が1メートル伸び、重量は1トン増えています。

 ナノレベルでの物質創製、新エネルギー開発、地球環境負荷低減、医療・生命工学などナノテクノロジーに関する幅広い分野への応用が期待されます。電子エネルギー損失分光装置組み込み後も、最高加速電圧130万ボルト、最高倍率120万倍、像分解能0.12ナノメートルの性能は変わりません。物質中の原子配列の直接観察に加えて、ナノスケールでの元素識別、原子結合状態・電子軌道状態の解析などが可能です。さらに、電子顕微鏡のCT、つまり物質の3次元立体構造の解析も可能です。


超高圧電子顕微鏡でみた解析素材 今後は学内での研究教育に支障のない範囲で、学外からの利用にも広く開放する予定です。
 利用法については、本学超高圧電子顕微鏡室(電話092-642-4028)、(財)九州大学学術研究都市推進機構(電話092-735-4848)へお尋ねください。


【用語解説】 
(超高圧電子顕微鏡)
電子を100万ボルト以上の高い電圧で加速する電子顕微鏡。光とほぼ同じ速さの電子(光速の94%)が試料を透過する。ナノメートル:十億分の一メートル。


(分 光)
可視光線の色をガラス製のプリズムで分けることを分光と呼んでいるが、X線や電子線をエネルギーに応じて選別することにも使われる。電子分光には電磁石の磁場が使われる。

◆今回の発表が,RKB毎日放送でニュース配信されています。

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