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総長式辞・挨拶等

2022年 総長年頭挨拶

 明けましておめでとうございます。
 新年を迎えるにあたり、九州大学が本年取り組む主要な事柄を、皆さんと共有しておきたいと考えています。

 まずは本学の皆さんへ。本学で学ぶ学生の皆さんは、学士、修士、博士課程を修める場として九州大学を選んでくださいました。なぜ九州大学で学ぼうと思ったのか、新年にあたって、その初心を思い出してください。もし、本学での学びや生活がその初心の実現に向かって進んでいるのか不安な方は、私たち教職員に、次の授業や研究室での機会を捉えて相談してください。皆さんの不安の解消に向けて、必ずや力になれると思います。

 そして本学および関係者の皆さんへ。九州大学は、昨年11月22日に文部科学大臣より「指定国立大学法人」に指定されました。その構想をもとに「九州大学ビジョン2030」を策定し、社会的課題の解決とそれによる社会・経済システムの変革に貢献する「総合知で社会変革を牽引する大学」となることを目指しています。本学は、自然科学系や人文社会科学系、さらにはデザイン系までの多彩な研究分野を持ち、これらの研究分野を複合、融合させることにより、社会的課題の解決に必要な「総合知」を創り出すことが可能です。この「総合知」を活用して、自治体、企業等との連携・協働を通じて社会・経済システムの変革を促し、福岡・九州から、日本、アジア、そして世界に広げ、持続可能な社会の発展と人々の多様な幸せ(Well-being)を実現できる社会づくりに貢献したいと考えています。 

 現在、世界は大気中のCO2やメタンガスなどの増加により引き起こされている気候変動による異常気象、生態系や食料生産への影響、プラスチック流出等による海洋汚染、感染症によるパンデミックなど様々な地球規模の問題を抱えています。これらの問題は、多様化とともに複雑化しており、単一の研究分野領域による成果だけでは解決することが困難な状況にあると考えられます。それ故に、研究活動の入口の段階において、社会実装という出口を見据えた研究を進めていく上で必要な分野を見定め、それらの分野間の連携を強く意識した研究体制の構築に取り組みます。この4月に立ち上げる予定となっている、社会的課題の解決とSociety 5.0による未来社会実現に向けたイノベーション創出を担う「未来社会デザイン統括本部」と「データ駆動イノベーション推進本部」の2つの本部と、本学が生み出す研究成果を絶え間なく社会実装、社会展開につなげる「オープンイノベーションプラットフォーム」が、この役割を担います。これらの新組織の取組には、自治体や企業、市民の皆さんとの協働が不可欠です。新たな組織対応型の連携をはじめ、既存のコンソーシアム等との連携も強化し、本学に対する意見や提案をいただける機会なども含め、地域との良好な協働関係を構築したいと思います。

 また、今回のCOVID-19パンデミックにおいては、感染拡大防止の観点からの移動制限や、対面による対応にも時間的・空間的な制限が設けられたため、多くのコミュニケーションのリモート化、オンライン化が進みました。場所や時間にとらわれないというメリットがある一方で、コミュニケーションが不足し、一定程度の活動停滞が生じてしまうことが課題と言えます。特に影響を大きく受けた外国人研究者や外国人留学生の受入、日本人学生の留学なども含め、これらを新しい視点で見直し、オンライン化によるメリットも活かしたWith & Beyondコロナ時代に相応しい国際協働・協力を積極的に展開していくことを想定しています。

 さらに、自由闊達な研究と、それを可能とする研究時間の確保も含めた環境整備を進め、多様で秀逸な研究者の育成や獲得を図っていきます。本学で学ぶ学生に対しては、自主財源と補助金等を活用して、十分な経済的支援とキャリアパス支援を拡充します。財務基盤の強化では、オープンイノベーションプラットフォームを通して、研究成果の技術移転や研究成果発ベンチャー企業の増加を図り、多様な外部資金の獲得につなげ、そうして得た外部資金を基礎研究も含めた研究領域に戦略的に配分するなど、大学全体の研究教育機能の強化を図りたいと考えています。

 「九州大学ビション2030」推進元年を迎えるにあたり、私たちの未来への挑戦は待ったなしですが、九州大学の学生の皆さん、教職員の皆さん、そして、九州大学を支えてくださる皆さんとともに、このスタートラインに立てたことを嬉しく、頼もしく感じています。一歩ずつ着実に、「九州大学ビジョン2030」の達成に力を尽くしていきましょう。どうぞよろしくお願いします。また、九州大学に広くご支援、ご協力いただいている多くの関係者の皆さんには、今年も変わらず、深く豊かなつながりをもっていただけるよう、心よりお願い申し上げます。

 2022年が皆さんにとって心穏やかで、明るい希望ある年であることをお祈りします。

 

2022年1月1日
九州大学総長 石橋 達朗