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梶山総長 年頭の挨拶(2006年1月1日)

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梶山総長 年頭の挨拶(2006年1月1日)

 新年明けましておめでとうございます。

 平成17年は九州大学にとって、明治44年の九州帝国大学創設以来、最大の変革の年でした。平成16年4月に国立大学法人として新生九州大学が誕生し、さらに平成17年10月1日の伊都キャンパスの開校により、世界レベルの新たな中核拠点構築に向けた教育・研究がスタートしました。

 福岡県西方沖地震、スマトラ島沖大地震と津波、衆議院議員総選挙での自民党の圧勝、九州国立博物館開館等、私たちの身近でも様々な事が起こりました。戦後60年が経過し、「日韓友情年2005」でもありましたが、東アジアでの大規模な反日デモ等、アジアの中の日本の存在意義と役割をもう一度考え直すことが不可欠であることも鮮明になってきました。

 国立大学法人スタートから1年目の昨年、文部科学省の国立大学法人評価委員会による、各大学の中期計画の実施状況に対する業務実績評価が行われました。その中で、九州大学の「組織の5年毎の評価と10年目の見直し」と「組織体としての教育・研究拠点構築を目差した研究スーパースター支援プログラムと研究戦略拠点形成」は、特筆すべき成果であるという評価を受けました。

 平成17年度はこの中期目標・計画が如何に実行され、目に見える形で成果があがっているかが評価されます。業務実績評価に限らず教育・研究評価でも、これからは「何を行ったか」だけでなく「それによりどの様な実績向上へつなげたか」の評価になります。九州大学教職員の皆様には、教育・研究現場での短期の改善・改革だけでなく、10年~20年後の世界レベルの教育・研究環境整備に向けて、九州大学の一員としての誇りを持ち、努力・邁進していただきたいと思っています。

 平成17年11月7日、私の総長としての二期目がスタートしました。一期目は「4+2+4アクションプラン」を立ち上げ、それを実行し、具現化する努力を行ってきました。最初の“4”が意味する「教育」「研究」「社会貢献」「国際貢献」の分野で世界レベルの中核拠点構築を行ってきましたが、「教育」分野以外は、様々な仕掛けが功を奏して活動は順調に進展し、目に見える成果が現れて社会的にも評価されるようになってきました。

 例えば、スーパーCOEといわれる「科学技術振興調整費」の「戦略的研究拠点育成プログラム」に採択されて、「九州大学ユーザーサイエンス機構」、すなわち感性と技術の融合を目差した研究組織を立ち上げました。また、この他にも多くの大型研究プロジェクトを開始することもできました。

 平成15年3月から始めて昨年末で30件に達した「組織対応型産学連携」をさらに進めます。知的財産に関する知識の集積などにより九州大学側の対応も進化していますし、連携の対象となる企業や組織も、もの作り関連だけでなく、情報、デザイン、行政などへと広がっています。この九州大学型産学連携は、大学と信頼できる連携が行えるようになったと、企業から非常に高い評価を受けています。

 国際貢献では、海外オフィスの設置、ソウル大学内への九州大学ブランチオフィスの設置等、教育・研究を海外から支援する拠点を構築してきました。特に、本学工学部の情報系卒業生でSYNNEX社長としてカリフォルニアで大活躍中のロバート・ファン 氏の支援による基金を使って、シリコンバレーで「九州大学起業家育成プログラム」を3月にスタートさせます。米国のベンチャー企業で活躍中の卒業生を中心とするグループの支援により、ベンチャーマインドを持った学生を育成すると共に、九州大学版起業家育成プログラムのカリキュラムを構築したいと思っています。

 総長としての二期目は、「教育改革」「部局の活性化」と「評価に基づく戦略作り」に力を注ぎます。

 特に教育分野では、学生が理解できる授業内容、社会のニーズに沿った教育内容を着実に修得させる授業法の徹底とカリキュラムの構築、そして教育制度改革を進めます。また、教員の教育に対する意識向上を徹底させる積もりです。そのために、昨年末、学部と大学院の学生6グループと教育の改善に向けた懇談を行い、教育現場の実情把握に努めました。部局活性化に向けても、部局長との懇談会を定期的に行うなど、現場主義に徹したいと思っています。

 教職員・学生が誇りを持てる九州大学、社会から信頼される九州大学、国際的に評価される九州大学を目標に、持続して変革し、飛躍する大学創りに、教職員一丸となって頑張りましょう。

平成18年1月1日
九州大学総長 梶山 千里