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遺伝子解析研究に係る不適切な管理に関する新聞報道について

2010.02.12
お知らせ

平成22年2月12日

 

遺伝子解析研究に係る不適切な管理に関する新聞報道について

 

国立大学法人          
九州大学大学院医学研究院長   
髙 栁 涼 一  

 

 この度,九州大学における「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に基づく遺伝子解析研究に係る不適切な管理に関するご説明を九州大学ホームページに掲載しましたところ,一部の新聞報道で誤解を招くおそれがあると思われる表現がありましたので,本件の経緯について改めてご説明申し上げます。

 九州大学は,名古屋大学を中心に10大学・研究所で進めている生活習慣病予防の共同研究のために,名古屋大学へ匿名化した血液試料を提供いたしました。いずれの血液試料も遺伝子研究の同意を受けた方々から提供されたものでしたが,このうちの74名の方々が名古屋大学との事前の取り決めによる,研究対象者の条件に合致しておりませんでした。名古屋大学との取り決めでは,遺伝子研究への同意の他に「提供する血液試料が長期間保存され,将来計画される生活習慣病に関する遺伝子解析研究に使用されること」に同意がある場合を共同研究の対象とすることにしていましたが,74名の方々については,この点についての同意が得られていなかったものです。なお,74名の方々の血液試料は名古屋大学から九州大学へ返却され,他の血液試料と混同することのないよう措置したうえ,厳重に保管しております。

 一部報道では,「九州大では74人とも血液提供には同意したが,遺伝子の解析には不同意だった」とありましたが,この方々からは遺伝子研究への同意はいただいており,前述のように「提供する血液試料が長期間保存され,将来計画される生活習慣病に関する遺伝子解析研究に使用されること」に同意をいただいていなかったものです。
 また,「74人の同意得ず 血液を長期保存」とする報道もありましたが,今回の研究は20年間にわたるコホート研究(追跡調査研究)ですので,現在進行中であります。コホート研究の基礎調査は平成16年2月~平成19年8月に実施しましたが,疾病罹患調査や5年毎の追跡健康調査は20年継続することになります。九州大学が血液試料を提供した共同研究もコホート研究で,約20年の追跡調査が計画されています。「長期保存」とは,これらの研究が終了した後に,新たに計画される研究のために,血液試料を保存することです。74名の方々については,「長期保存」についての同意が得られていませんでしたので,これらの方々の血液を長期保存したわけではありません。

 本件により,研究にご協力いただいた皆様をはじめとする,関係者の皆様には,ご迷惑,ご心配をおかけし,誠に申し訳ございませんでした。私どもは皆様からの善意の試料のご提供により研究を行っていることの責任の重さを忘れることなく,生活習慣病の予防研究に全力で取り組んで参る所存です。

 本件に関するお尋ね・ご意見につきましては下記へご連絡下さいますようお願い申し上げます。

 

 九州大学大学院医学研究院予防医学分野 教授  古野 純典(この すみのり)
電話 092-642-6110   ファックス 092-642-6115
E-mail 
skono@phealth.med.kyushu-u.ac.jp
 
本件に関する九州大学の説明: 
http://www.kyushu-u.ac.jp/notice/index.php