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お知らせ

公開日:2010.01.29

遺伝子解析研究に係る不適切な管理について

お知らせ

平成22年1月29日

 

九州大学大学院医学研究院における「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」
に基づく遺伝子解析研究に係る不適切な管理について

 

国立大学法人
九州大学大学院医学研究院長
髙 栁 涼 一

 

 九州大学は,国内の10か所の研究機関が参加している生活習慣病の共同コーホート研究に参加しています。平成21年3月に,この共同研究の中央事務局である名古屋大学が,九州大学を含む各研究機関から提供を受けた4,667人分の血液検体のDNAを用いて予備的な遺伝子型測定を実施したところ,本研究機関が提供いたしました血液検体の中に,以下のような不適切な管理状況が判明しました。

 

1.経緯
 私どもは平成16年2月~平成19年8月に実施した「生活習慣病予防を目指したコホート研究(研究責任者・予防医学分野 教授 古野純典)」の基礎調査で遺伝子研究のインフォームド・コンセントを受けた12,629名のDNA検体を,文部科学省科学研究費補助金「特定領域研究」の助成を受け平成17年度から実施している「日本多施設共同コーホート研究(主任研究者・名古屋大学 教授 浜島信之)」との共同研究のために,平成20年7月~8月に名古屋大学へ提供しました。名古屋大学と九州大学の間では「遺伝子解析への同意」に加え「提供する血液試料が長期間保存され,将来計画される生活習慣病に関する遺伝子解析研究に使用されること」にも同意がある方を「日本多施設共同コーホート研究」の対象にすると取り決めておりましたが,私どもが提供した検体にこの対象にあたらない74名の方の検体が含まれており,平成21年9月1日に名古屋大学より九州大学に対し,その中の5名の方について,解析機関である理化学研究所において平成21年3月に遺伝子解析が行われていた旨の報告がありました。

 

2.原因
 九州大学で実施している「生活習慣病予防を目指したコホート研究」では,「日本多施設共同コーホート研究」に遺伝子解析のための検体を提供することを想定して,先行して研究を進めていました。研究参加予定者の方には,平成17年度に始まる予定の共同研究に調査資料と検体の一部を提供することをインフォームド・コンセントの際にご説明したうえで,下記3点の同意をお願いしておりました。

①生活習慣健康調査と5年ごとの健康調査に協力することに同意する。
②遺伝子研究のために血液6mlを提供することに同意する。
項目2で「はい」に○をつけ,署名された方は,項目3にもお答えください。
③提供する血液試料が長期間保存され,将来計画される生活習慣病に関する遺伝子解析研究に使用されることに同意する。

 

 名古屋大学と九州大学では,平成19年に手順を作成し,上記の同意項目の①から③の全てに同意がある研究参加者のみを「日本多施設共同コーホート研究」の対象とすると決めていました。しかし,本研究院の研究責任者は①及び②に同意がある場合には,「日本多施設共同コーホート研究」の研究対象になると思いこみ,「日本多施設共同コーホート研究」の中央事務局である名古屋大学へ同意項目③に同意のない74名分の検体を提供しました。
 また,名古屋大学では,各機関から送られてきた検体について,適切な同意があることを確認することになっていましたが,同意の確認が完全でないまま解析機関である理化学研究所に検体を移送したため,上記74名のうち5名分の遺伝子解析が実施されてしまいました。

 

3.今回の手違いに対する対応
 遺伝子型が調べられた5名の方の遺伝子型情報は,理化学研究所において破棄されております。5名の方のうち1名は平成20年に亡くなっており,4名の方には遺伝子解析の手違いがあった旨の報告とお詫びを平成21年12月に手紙と電話でご説明し,ご了解をいただきました。
 また,これら5名の方を含む74名分の検体は,平成21年11月に名古屋大学から九州大学に返却されております。
 さらに,名古屋大学に提供した12,629名分の検体のうち,上記74名分の検体を除く全ての検体(12,555名分)については,上記同意項目の①から③の全てに同意があることを平成21年12月に再度確認しました。

 

4.今後の再発予防策について
 今回の事案については,九州大学の倫理審査委員会で審議し,以下のように再発防止策を講じました。また,文部科学省研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室に報告し,再発防止のための措置を徹底するよう指導を受けております。研究対象者の参加募集は終わっており,今後,「日本多施設共同コーホート研究」中央事務局に新たに検体を提供する予定はありませんが,「提供する血液試料が長期間保存され,将来計画される生活習慣病に関する遺伝子解析研究に使用されること」への同意がない方74名分の検体(名古屋大学から返却されたもの)については検体番号一覧を試料保管室に掲示し,検体の混同防止を図っており,本研究院が実施する遺伝子解析研究以外の研究での使用に際しては,適切な手続きをとるよう措置しております。
 九州大学ではほかにも遺伝子解析研究がおこなわれています。検体管理及び移送を含めて「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」の遵守を徹底するよう努めてまいります。

 

 この度の手違いにより,関係者の皆様にご迷惑をおかけしましたことに対し,心よりお詫びを申し上げます。今後はこのような手違いが発生しないよう再発防止策を確実に実行するとともに,遺伝子解析研究に関与する研究者ひとりひとりが万全の注意を払う所存でございます。

 
5.本件に関するお問い合わせ
 本件に対するお尋ね及びご意見につきましては,下記までご連絡くださいますようお願い申し上げます。

 

1.九州大学
   九州大学大学院医学研究院予防医学分野
   教授   古野 純典(この すみのり)
   〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1
   電話    092-642-6110
   ファックス 092-642-6115
   E-mail   
skono@phealth.med.kyushu-u.ac.jp

 

2.名古屋大学
   名古屋大学医学部・医学系研究科事務部総務課
   総務課長 大岩 淳一(おおいわ じゅんいち)
   〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞町65
   電話  052-744-2772
   ファックス 052-744-2785
   本件に関する名古屋大学の報告:
http://www.nagoya-u.ac.jp/global-info/info/

 

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