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九州大学とトヨタ自動車九州がブルーカーボン創出に向けた共同研究を開始

~福津市や岡垣町海域の漁業者と連携した海藻増殖・藻場再生で脱炭素を促進~ 2023.04.20
お知らせ

 九州大学水産実験所とトヨタ自動車九州(以下、トヨタ九州)はこのたび、「ブルーカーボン*1創出技術開発に向けた共同研究」を開始します。福津市・津屋崎周辺や岡垣町・波津周辺の海域を管理する漁業協同組合各本・支所や漁業者らと連携し、脱炭素社会実現に向けて海藻増殖と藻場再生・保全を通じた ブルーカーボン創出の技術開発に取り組みます。

*1ブルーカーボン: ワカメやアカモクなどの海藻、アマモなどの海草、湿地・干潟、マングローブ林の働きによって海中に吸収・貯められた炭素

1.背景

 世界中で環境意識が高まるなか、日本も2050年までに温室効果ガス排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル社会 」実現を推進し ています。そうしたなか、二酸化炭素排出を減らす取り組みだけでなく、炭素吸収源である藻場や湿地・干潟などを守り、増やす取り組みも近年、注目を集めています。なかでも、海藻や海草など海洋植物の働きによって海中に吸収・貯められた炭素「ブルーカーボン」は、特に海域面積の広い日本において、脱炭素社会形成に欠かせないと言われています。

2.共同研究の狙い

 トヨタ九州は2035年の工場カーボンニュートラル実現に向け、ブルーカーボンによるオフセット*2に着目しました。しかし、ブルーカーボンを生み出す海藻や藻場は近年、磯焼けなどで減少傾向が続いています。そこで、海藻育成や藻場再生のための知見と技術を持つ九州大学水産実験所と共同研究を進めることで、より多くのブルーカーボンを創出し、工場カーボンニュートラルや脱炭素社会実現を目指します。

*2 カーボンオフセット:日常生活や経済活動で不可避のCO₂など温室効果ガス排出について、できるだけ排出量が減るよう努力したうえで、どうしても排出される温室効果ガスについて、排出量に見合った温室効果ガス削減活動への投資などにより、排出される温室効果ガスを埋め合わせる考え方

3. フィールドと体制

 宗像漁業協同組合・津屋崎支所と遠賀漁業協同組合・波津本所がそれぞれ管理する海域を研究フィールドとし、漁業協同組合各本・支所・漁業者と連携して海藻増殖・藻場再生のための技術開発および持続可能なブルーカーボンの創出体制構築を目指します。さらに、福岡県立水産高校とニチモウ株式会社、福岡県水産海洋技術センターの支援を受けながら、さまざまな海洋生物の産卵や生育の場でもある藻場再生を通じた漁業振興に取り組むほか、地元の小・中学生、高校生を対象にした環境教育の提供も検討してまいります 。

4.役割

▽九州大学水産実験所
・海藻増殖・藻場再生をはじめとするブルーカーボン創出に関する基礎研究
・本研究内容を活用した地元小・中学生、高校生向けの環境教育機会の検討
▽トヨタ九州
・九州大学水産実験所の基礎研究結果を活用した社会実装のためのフィールドワークと技術開発
・地域漁業者への調査結果・技術共有
・本研究内容を活用した地元小・中学生、高校生向けの環境教育機会の検討