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岩手県洋野町にて鶏舎環境モニタリングコントロールシステムの実証型研究開発を開始

2024.03.28
お知らせ

国立大学法人岩手大学(学長:小川 智、以下 岩手大学)、国立大学法人九州大学(総長:石橋 達朗、以下 九州大学)、アルプスアルパイン株式会社(代表取締役社長:泉 英男、以下 アルプスアルパイン)、株式会社中嶋製作所(代表取締役社長:中島 功雄、以下 中嶋製作所)、NTTコミュニケーションズ株式会社(代表取締役社長:丸岡 亨、以下 NTT Com)は、1月15日より岩手県九戸郡洋野町にて「鶏舎環境モニタリングコントロールシステムの実証型研究開発」(以下 本事業)を開始しました。

なお本事業は、国立研究開発法人情報通信研究機構(理事長: 徳田 英幸)の令和5年度委託研究 課題番号233「データ利活用等のデジタル化の推進による社会課題解決のための実証型研究開発(第2回)」の採択をうけ実施するものです。

1.実施背景

岩手県は、養鶏の国内3大産地の一つであり、主力産業として地域の仕事や暮らしを支え、日本の食糧安全保障の一翼を担っております。

一方で、畜産業が抱える課題として、過酷な労働環境や少子高齢化による就労人口減少が持続的な発展を妨げていることから、本事業では、鶏舎内環境データをもとに、畜産技術と情報通信、数理モデル・AI、プラズマ科学を融合し、生産性の向上、就労環境の改善等を図り、通信条件が不安定な地域においても使用可能な鶏舎環境モニタリングコントロールシステムを開発することで、持続的な畜産業の発展に寄与します。これにより主力産業の発展による地域幸福度(Well-Being)の向上、SDGs目標8、9、11に貢献します。

2.実施内容

本事業は、畜産業の中でも特に養鶏における生産性の向上、就労環境の改善等を図り、通信条件が不安定な地域でも使用可能な「鶏舎環境モニタリングコントロールシステム」の提供を目的とし、大きく次の3つの研究開発項目で構成されます。 

事業期間:2024年1月15日〜2026年3月31日
事業場所:岩手県九戸郡洋野町 養鶏場
事業内容:

①「鶏舎内環境データ(温湿度、CO₂)をもとに数理モデル・AIの組み合わせによる斃死数予測技術の実証試験」、 及び「鶏舎内環境制御機構(温湿度・CO₂)の開発」

養鶏業における生産性の向上を目的とし、鶏舎内の温度・湿度・二酸化炭素などの環境データをパラメーターとして、独自の数理モデル・AIを組み込んだ鶏の突然死数予測システムの検証を行います。このシステムの情報をもとに、鶏舎内環境をコントロールおよびモニタリングすることで、鶏舎内環境の改善と生産性の向上が可能となります。

②「臭気センサ技術及び集塵センサ技術の確立」、及び「誘導性ナノ秒パルス電源と一体化した革新的な高効率ガス処理集塵装置の開発」

養鶏場における労働環境の改善を目的とし、鶏舎内で使用可能な高精度アンモニアセンサ、粉塵センサの技術開発を行います。また、鶏舎内の臭気成分濃度分布評価技術を確立するとともに、独自の高効率誘導性ナノ秒パルス電源を用いたプラズマ生成により悪臭物質を分解する高効率ガス処理集塵装置を開発し、鶏舎内の環境改善に取り組みます。

③「マルチホップWi-Fi技術の活用による無線通信エリアの構築」及び「一次産業分野でのシステム導入に関わる機能性の検証・実証」

通信状況が不安定な中山間地域における安定した通信環境の実現に向け、現在通信エリア外となっている養鶏場内にマルチホップ機能を有したWi-Fiを設置し、養鶏場内の無線通信エリア化を実施します。また一次産業分野での環境に耐えうる特異的な機能として、通信機器における広い動作保証温度や鶏舎内利用を想定した防塵機能、屋外利用を想定した防水機能についての検証・評価も行います。

3.各機関の役割

岩手大学
  • 鶏舎内環境データ(温湿度、CO₂)をもとに数理モデル・AIの組み合わせによる斃死数予測技術の確立と実証、アラートシステムの確立・実証
  • 誘導性ナノ秒パルス電源と一体化した革新的な高効率ガス処理集塵装置の開発
九州大学
  • 誘導性ナノ秒パルス電源と一体化した革新的な高効率ガス処理集塵装置の開発
アルプスアルパイン
  • 鶏舎内環境制御機構(温湿度・CO₂)の開発
  • 高精度アンモニアセンサ技術及び集塵センサ技術の開発
中嶋製作所
  • 鶏舎内環境制御機構(温湿度・CO₂)の開発
NTT Com
  • マルチホップWi-Fi技術の活用による無線通信エリアの構築
  • 一次産業分野でのシステム導入に関わる機能性の検証・実証

4.今後の展開

本事業で得られた結果を踏まえ、活用するシステムの改善を進めるとともに、今後、他の畜産業へのサービスとしての展開を目指します。また本事業を通じて、同様の課題を抱える他の地域においても、課題解決となる糸口をつかむとともに、引き続きICTを活用して一次産業の課題解決に貢献していきます。