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金谷 晴一 教授が田中貴金属記念財団2023年度「貴金属に関わる研究助成金」Umekichi Tanaka Awardを受賞

システム情報科学研究院 金谷 晴一 教授 2024.06.13
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 令和6年3月31日、システム情報科学研究院 金谷 晴一 教授は、2023年度「貴金属に関わる研究助成金」で、Umekichi Tanaka Awardを受賞しました。

 金谷教授は「電磁波遮蔽機能付ボンディングワイヤに関する研究」で受賞。この研究は、貴金属を含んだ磁性薄膜をワイヤボンディングの表面にコーティングすることで、合金構造から高周波での渦電流損失を低減し、電磁波遮蔽性能を向上させるものです。貴金属の新たな材料分野への拡張可能性が高く評価され、受賞へつながりました。

田中貴金属財団から授与の様子。金谷 晴一教授(写真中央)

貴金属に関わる研究助成金について

 「貴金属に関わる研究助成金」を実施している田中貴金属記念財団は、「貴金属が切り拓く新たな世界」への挑戦を支援するために、この助成金制度を実施しています。1999年から毎年実施されており、第25回目となる今回は、合計210件の応募があり、そのうち19件の研究に対して研究助成金が授与されています。

受賞につながった研究概要

 高周波無線通信回路において周囲の電子機器や通信電波などからの電磁波により、雑音や電磁干渉を引き起こすことが課題となっています。これらの雑音源を最小限に抑えつつ、効率的で信頼性の高い通信回路を構築するための回路設計が必要不可欠です。 磁性体は電磁波の磁場成分に影響するため、 電磁波の吸収や、磁場成分を変化させることによって、電磁波を減衰させることが可能であり、特に低周波の磁気シールドなどに応用されています。この磁性体の特性を高周波無線通信回路に適用し、雑音や電磁干渉を低減することが期待されます。

研究内容における貴金属の役割

 最近、コバルト-白金磁性薄膜にて電磁波を遮蔽する効果が確認されてきています。電磁波が磁性膜に侵入するときに、電磁波エネルギーが磁気エネルギーに変換されます。このとき、強磁性共鳴の現象により、薄膜の磁性金属のスピンが歳差運動することにより、電磁波が減衰するためだと考えられます。この特性を利用して、高周波無線通信回路の配線部等に磁性膜をコーティングすることにより、雑音や電磁干渉を低減することが期待されます。

貴金属に関する開発内容

 半導体チップ上の電極と外部リードとを結ぶワイヤ表面に磁性薄膜をコーティングし、ワイヤから発生する磁場を遮蔽することにより自己インダクタンスの効果が生じない構造とすることで、GHz帯で情報をやり取りするデバイスにもボンディングワイヤを使うことができると考えられます。また、近接するワイヤの萬周波電流から受ける相互インダクタンスの効果の抑制も期待できます。さらにワイヤ同士が接触してもショートすることがないため、より密にワイヤボンディングを行うことが可能となります。

お問い合わせ先

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