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架橋(糊付け)酵素とポリアミンによる免疫過剰反応の抑制機構の解明 -炎症疾患の原因解明や治療の寄与が期待される-

2017.03.16
研究成果Physics & Chemistry

 免疫系は微生物に対する過剰反応を防ぐために、巧妙な制御機構を備えています。九州大学大学院システム生命科学府の槇 光輝(4年生)、高等研究院の柴田俊生助教、大学院理学研究院の川畑俊一郎主幹教授らの研究グループは、これまでショウジョウバエを用いて、架橋(糊付け)酵素であるトランスグルタミナーゼ(TG)が、免疫遺伝子のスイッチを入れるNF-κBと呼ばれるタンパク質(転写因子)のひとつであるレリッシュの分子の間を架橋することを報告していました。今回、細胞の核内において、トランスグルタミナーゼ(TG)の架橋反応を介して、レリッシュ分子内の特定のアミノ酸(グルタミン)にポリアミンが架橋されることで、レリッシュのDNA結合能力が阻害され、過剰な免疫遺伝子の発現が抑制されることが判明しました。哺乳類においては、NF-κBの過剰な活性化は炎症疾患の原因となります。また哺乳類と昆虫においては、免疫の情報伝達経路のひとつであるNF-κB経路は相互に類似しており、進化的に保存されています。今回の発見により炎症疾患の原因解明や治療に寄与すると期待されます。
 本研究成果は、米国の国際学術誌『The Journal of Biological Chemistry』のオンライン速報版で2017年3月3日(金)に掲載されました。近日中に確定版が掲載される予定です。

腸では、常在細菌の刺激により、常に免疫応答が引き起こされ、転写因子のレリッシュは、タンパク質分解酵素により活性化されます。活性化されたレリッシュのN断片は核へ移行し、免疫遺伝子のスイッチを入れます。
TGは、レリッシュのN断片同士を糊付けするか、N断片のグルタミン(Q)にポリアミンを糊付けすることで、レリッシュN断片の核移行やDNAとの相互作用を阻害し、免疫遺伝子の過剰な発現を抑制しています。

研究者からひとこと

 ポリアミン(スペルミジンやスペルミンなど)は、細菌からヒトに至る、すべての生物に見られるアミノ基を含む直鎖炭化水素の一種で、DNAと相互作用して細胞分裂やタンパク質合成の制御に関わっています。今回の研究から、ポリアミンが、TGによる糊付け反応を介して、古生代の昔から現代まで、生物の免疫の過剰反応を制御してきたことが推定できるのです。

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