Research Results 研究成果
ポイント
概要
コロナ禍では、政治家が公の場でマスクを着ける場面が大幅に増えました。しかし、政治家がマスクを着けたときに有権者がどのような印象を持つのか、またその影響が女性政治家と男性政治家で異なるのかについては、これまで十分に分かっていませんでした。特に日本では、日常的に多くの人がマスクを使用する一方で、政治家の評価との関係は明らかにされておらず、この点を解き明かすことが求められていました。
今回の研究では、女性政治家はマスクを着けると支持が下がる一方で、男性政治家には同様の影響が見られないという新たな傾向を明らかにしました。
九州大学大学院経済学研究院の室賀貴穂准教授と、ダートマス大学政治学部のCharles Crabtree助教授の研究グループは、全国約1,500人を対象に調査実験を実施し、政治家の写真(マスクあり・なし)に対する評価を分析しました。その結果、女性政治家がマスクを着用した場合には支持が低下する一方、男性政治家では評価に大きな変化が見られないことが分かりました。これらの結果は、日常的な行動であるマスク着用が、政治家に対する性別による印象の差につながる可能性を示しています。
今回の知見は、コロナ後の選挙活動を検討するうえで重要な示唆を与えるものです。特に女性政治家は外見による不利を受ける可能性があるため、選挙活動におけるコミュニケーション方法の工夫や、必要な支援策を考えていくことが求められます。今後は、マスクが印象に影響する理由(表情の見え方、声の聞こえ方、性別に対する社会的期待など)をさらに詳しく解明し、公平な選挙環境づくりに貢献することが期待されます。
本研究成果は、国際学術誌「Japanese Journal of Political Science」に2026年1月8日(木)に掲載されました。
研究者からひとこと
九州大学大学院経済学研究院 准教授 室賀貴穂
今回の研究は、「見え方の違い」が、女性政治家に不利な影響を及ぼす可能性を示しました。マスクの着用という小さな行動でさえ、性別による期待が反映されることがわかります。この成果を踏まえ、多様な立場の人々が活躍できる社会の実現に向けて、今後も実践的な研究を進めてまいります。
論文情報
掲載誌:Japanese Journal of Political Science
タイトル:Are voters less likely to support politicians when they wear face masks?
著者名:Kiho Muroga and Charles Crabtree
DOI:10.1017/S1468109924000082
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