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Research Results 研究成果
ポイント
概要

本研究の概要図
天然に存在する糖鎖・複合糖質は酸素原子(O-グリコシド結合)で連結されています。これを炭素原子(C-グリコシド結合)に変えた炭素連結型アナログは、天然型糖鎖・複合糖質の構造を模倣しつつ、糖加水分解酵素により分解されない生物機能分子として期待されています。C-グリコシド結合の構築法はいくつか報告されていますが、生物活性に大きく影響するグリコシド結合の立体化学(α/β)を制御し、生物活性分子創製に利用できる合成法は極めて限定的でした。
九州大学大学院薬学研究院の平井剛教授、寄立麻琴講師らの研究グループと、大阪大学微生物病研究所の山﨑晶教授、石川絵里助教らの研究グループは、β-C-グルコシド結合のみを構築できる新手法を、光酸化還元反応とニッケル触媒による還元的カップリング反応を利用して開発し、様々な炭素連結型アナログの中間体(フルオロビニル-C-グリコシド中間体)の合成を実現しました。これを起点として、CH₂型、(R)-CHF型、(S)-CHF型の3種類の炭素連結様式をもつ擬β-グルコシルセラミド(β-GlcCer)および擬β-グルコシルコレステロール(β-GlcChol)の分岐合成に成功しました。さらに、炭素連結型擬β-GlcCerが、内在性の天然型β-GlcCer(O-グリコシド型)と比較して高い免疫活性を示すこと、さらに連結様式によって樹状細胞の成熟度が変化することを明らかにしました。これらの成果は、内在性糖脂質の機能解析研究や、免疫治療薬開発への応用が期待されます。
本研究成果は、アメリカ化学会が出版する国際誌 Journal of the American Chemical Society のオンライン版にて、2026年1月10日(土)付で掲載されました。
本研究グループからひとこと
今回発表した研究では、新たな生物活性分子のデザイン指針を示すとともに、その効率的な合成法を開発しました。さらに、量子化学計算による反応メカニズムの詳細な解析、生物活性評価がすべて盛り込まれた大作です。実験項まで含め、かなり読み応えのある論文となっていますのでぜひご一読いただければと思います。
用語解説
(※1) 糖鎖
複数の糖がグリコシド結合によって鎖状につながった化合物。細胞表面や体内でタンパク質などと相互作用し、免疫反応を含むさまざまな生命現象の制御に関与する。
(※2) 複合糖質
タンパク質や脂質に糖が結合した分子群の総称。糖タンパク質や糖脂質などが含まれる。
(※3) アナログ
元の分子と構造や性質が類似しているが、一部の構成要素が異なる分子。
(※4) 糖加水分解酵素
糖のグリコシド結合に作用し、水を用いて結合を切断(加水分解)する酵素の総称。
(※5) C-グリコシド
糖のアノマー位に炭素(C)が結合した分子の総称。本研究では、天然のO-グリコシド結合における酸素原子を炭素に置換したアナログ分子を指す。
(※6) Mincle
免疫細胞に発現するC型レクチン受容体の一種。主に糖脂質を認識し、免疫応答の活性化に関与する。
論文情報
掲載誌:Journal of American Chemical Society
タイトル:Linkage-Editing of β‑Glucosylceramide and β‑Glucosylcholesterol: Development of β‑Selective C‑Glucosylation and Potent Mincle Ligands
著者名:Suzuka Chiba, Wakana Kusuhara, Eri Ishikawa, Makoto Yoritate,* Taishi Miura, Kazushi Maeda, 5 Haruto Takamura, Hiroaki Matoba, Sho Yamasaki, and Go Hirai*
DOI:10.1021/jacs.5c17740
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