Research Results 研究成果
ポイント
概要
ウェアラブル端末は健康管理や行動分析に広く活用されていますが、その多くは毎日の充電が必要であり、長期間の連続利用が難しいという課題がありました。特に屋内環境では発電量が限られるため、電池に頼らず持続的に動作する技術の実現が求められていました。
このたび本研究グループは、室内の光と人の動きのみで発電し、電池にほとんど依存せず動作する名札型ウェアラブル端末の開発に成功しました。
九州大学大学院システム情報科学研究院の荒川豊教授らの研究グループは、特性の異なる2種類の太陽電池と、動きを電気に変える素子を組み合わせた装置を設計・開発しました。さらに、電力が不足した場合に自動的に省電力状態へ移行する制御機構を導入しました。その結果、8時間の勤務時間のうち平均93.97%を発電のみで動作させることに成功し、8種類の部屋の識別を96.62%の精度で実現しました。
本成果は、充電の手間を大幅に軽減する次世代ウェアラブル端末の実現につながるものです。長期間の行動記録や職場での健康支援、施設内の見守りなどへの応用が期待されます。今後はさらなる軽量化・小型化を進め、実用化を目指します。
本研究成果は、オランダの学術出版社Elsevierが発行する国際学術誌「Pervasive and Mobile Computing」に2026年2月5日(木)(日本時間)にオンライン掲載されました。
図 電池にほとんど頼らないウェアラブル端末「ZEL+」の利用イメージ
(A)退勤後、端末を窓辺などの明るい場所に置き、室内の光から電気をためる。 (B)翌朝、出勤時に名札のように装着し、業務中の行動記録を開始する。 (C・D)デスクワークやオフィス内の移動中も、自動で場所や行動を記録する。 (E)1日の終わりにスマートフォンでデータを確認できる。
研究者からひとこと
オフィスビル内では、GPSが利用できないため、滞在場所の情報を得るためにはビル内にBLEビーコン(電波を周期的に発生する装置)を設置するといったコストが必要になります。提案システムは、その場所の照明光による発電量をその位置の指紋と捉えることで、追加コスト無く滞在場所の把握を可能にしました。もちろん、照明光から発電をするため、充電すら不要のウェアラブル端末となっています。
論文情報
掲載誌:Pervasive and Mobile Computing
タイトル:ZEL+: Wearable net-zero-energy lifelogging using heterogeneous energy harvesters for sustainable context sensing
著者名:Mitsuru Arita, Yugo Nakamura, Shigemi Ishida, Yutaka Arakawa
DOI:10.1016/j.pmcj.2026.102180
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