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Research Results 研究成果

高校生の英作文は3年間でどう変わる?

1,086人・26,399本を追跡 「I」(私)中心の記述から情報をまとめる英語へ
言語文化研究院
内田諭 准教授
2026.10.22
研究成果Humanities & Social Sciences

ポイント

  • 高校生の英語ライティングが3年間でどのように発達するかを、1,086人が3年間に書いた英作文26,399本(約200万語)を用いて追跡しました。
  • 2語以上からなる主語の割合は、高校1年の15.5%から高校3年の33.0%へ増加しました。「I」などの代名詞中心から、より多くの情報を含む名詞句へ移行することが確認されました。
  • 主語の長さや構造は英語力の発達を捉える指標となる可能性があります。今後、英作文指導や自動評価の一要素としての応用が期待されます。

概要

 英語学習者のライティング能力の発達は、これまで文全体の長さや使用されている単語の難易度などを中心に調べられてきました。一方、文の「主語」がどのように変化するかを、同じ学習者について長期間・大規模に追跡した研究は限られていました。
 九州大学大学院言語文化研究院の内田諭准教授と東京学芸大学の臼倉美里教授は、日本人高校生1,086人が3年間に書いた26,399本の英作文を分析しました。その結果、主語は学年とともに長くなり、2語以上からなる主語の割合は15.5%、23.7%、33.0%と段階的に増加していることが分かりました。
 さらに、主語は「I」などの代名詞中心の形から、形容詞、所有格、複合名詞、前置詞句などを含む名詞句へ移行しました。同じ生徒を追跡した分析でも、88.9%が高校1年から3年にかけて主語の平均語数を増やしていました。国際的な言語能力の指標であるCEFR(※1)による作文のレベル別の分析では、B1以降で主語の長さのレベル間の差がより明確になりました。
 本研究は、主語という明確な位置に注目することで、学習者が「自分について述べる」表現から「情報をひとまとまりにして伝える」表現へ発達する過程を数量的に示しました。主語の長さだけで個々の作文を採点することはできませんが、今後はライティング発達の把握や自動評価を支える複数指標の一つとして活用できる可能性があります。
 本研究成果は、英語ライティング評価の国際学術誌「Assessing Writing」に2026年9月22日(火)(現地時間)にオンライン掲載されました。

参考図

研究者からひとこと

同じ高校生を3年間にわたって追跡した、これほど大規模な英作文データは非常に貴重です。そのデータから、学年が上がるにつれて文の出だしが変わる様子を数量的に確かめることができました。長い主語を書けばよい、ということではありません。伝えたい情報に応じて、多様な主語を使えるようになることが重要です。(内田諭)

用語解説

(※1)CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)
・・・外国語の運用能力をA1、A2、B1、B2、C1、C2などの段階で示す国際的な枠組み。

論文情報

掲載誌:Assessing Writing
タイトル:Developmental Trends in Subject Length and Complexity in Japanese Learners’ English Writing
著者名:Satoru Uchida, Misato Usukura
DOI:10.1016/j.asw.2026.101124