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大面積グラフェンのさまざまな欠陥構造を高速・高精度に可視化する技術 ―ロックイン赤外線発熱解析法による二次元層状物質の新しい評価技術―

2019.02.04
研究成果Physics & ChemistryTechnology

 国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】(以下「産総研」という)ナノチューブ実用化研究センター【研究センター長 畠 賢治】CNT評価チーム 中島 秀朗 産総研特別研究員、森本 崇宏 主任研究員、岡崎 俊也 研究チーム長(兼)同研究センター 副研究センター長らは、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構【理事長 石塚 博昭】(以下「NEDO」という)のプロジェクトの成果をもとに、産総研 ナノ材料研究部門【研究部門長 佐々木 毅】炭素系薄膜研究グループ 山田 貴壽 主任研究員、沖川 侑揮 主任研究員、九州大学【総長 久保 千春】グローバルイノベーションセンター【センター長 中島 寛】(以下「九大GIC」という)新エネルギー領域 吾郷 浩樹 教授らと共同で、微弱信号を高効率に検出できるロックイン赤外線発熱解析法を用いて大面積グラフェン膜のさまざまな微細な欠陥構造を高速・高精度で可視化できるイメージング評価技術を開発しました。
 多様な分野での活用が期待されるグラフェンは、近年化学気相蒸着(CVD)法による大面積化が進められています。しかしながら、一般にCVD法で合成されたグラフェンにはさまざまな欠陥構造が存在するため、電気特性が大きく低下してしまうという課題がありました。今回開発した技術により、電圧をかけた時に発生するジュール熱を高効率に検出して、グラフェンの電気特性を低下させる要素を、炭素-炭素結合の切断といった原子レベルの構造の乱れで構成される結晶粒界(ドメインバウンダリー:DB)のような微細な欠陥まで、数分程度で識別できるようになりました。大面積のグラフェンに存在するごく小さな欠陥を迅速に可視化する評価ツールとして今後の研究開発への貢献が期待されます。
 なお、この成果は2019年2月1日(米国東部標準時間)にScience Advancesにオンライン掲載されました。

ロックイン赤外線発熱解析法を用いたグラフェン欠陥構造イメージングの概念図

研究者からひとこと

今後は、今回の成果をもとに、品質評価を通じてCVDグラフェンの高性能化に貢献するとともに、近年発光デバイスとして注目される二次元シートの一種である遷移金属ダイカルコゲナイドといったさまざまな材料系への応用に取り組んでいきます。

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