Research Results 研究成果
九州大学水素エネルギー国際研究センターを代表機関とするベトナム国家大学ホーチミン市校(VNUHCM)ナノテク研究所(INT)との国際共同研究チーム(プロジェクトリーダー:本学大学院工学研究院/水素エネルギー国際研究センター 白鳥 祐介准教授)は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)と独立行政法人国際協力機構(JICA)が協同で実施する「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)(課題番号:JPMSA1402)」の支援により、日本企業4社と連携し、ベトナム・メコンデルタのエビ養殖場内に、地域の有機性廃棄物を資源として利用した低炭素エビ養殖システムの実証プラント(図1)を構築し、当プラントにおいて、東南アジア初の固体酸化物形燃料電池(SOFC)の実証研究を行っています。(https://www.jst.go.jp/global/kadai/h2602_vietnam.html)
白鳥准教授は、マグネクス株式会社(東京都立川市)と共同で開発したバイオガス1)の直接供給で作動する発電出力1kWのSOFC(図1および2)に、メコンデルタ特有の有機性廃棄物(エビ養殖池ヘドロ、稲わら、ココナッツの搾りかす)から製造したバイオガスを供給し、発電効率62.5%(直流発電端)を達成しました。この発電効率は、バイオガス供給による燃料電池の発電効率としては世界最高レベルで、同じ出力のエンジン発電機の2~3倍に達するものです。
上記SOFCシステムは、開発途上国の農村部や僻地でも使えるよう、株式会社中山鉄工所(佐賀県武雄市)が構築したネットワークを通じて遠隔監視・遠隔操作が可能な仕様となっており、バイオガスを、不純物(硫化水素)を除去するだけでそのまま供給できるシンプルな設計となっています。
1) 有機性廃棄物を発酵して得られるメタン(60%)と二酸化炭素(40%)の混合ガス
図1:有機性廃物を資源として利用した低炭素エビ養殖システムの実証プラント(ベトナム・ベンチェ)
図2:研究開発チーム(2019年7月、SOFCシステム実証機を前に)
私達のSATREPS燃料電池プロジェクトは本年度終了を迎えますが、燃料電池の地球規模の普及、開発途上国農村部の生活水準の向上、温室効果ガス排出量の削減に向けて、まだまだ挑戦は続きます。