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Research Results 研究成果
九州大学生体防御医学研究所の藤木幸夫特任教授(研究当時)、本学大学院理学研究院 奥本寛治助教、米国スタンフォード大学のMichael Bassik教授らの研究グループは、ヒト遺伝子の網羅的解析により、活性酸素種によるストレス毒性の制御に関わる多種の遺伝子群を世界で初めて同定、過酸化水素分解酵素カタラーゼをはじめ、様々な因子を介した活性酸素種障害対処戦略を発見しました。
ヒトをはじめ大気中の酸素を使ってエネルギーを産生する生物は、副産物として活性酸素種を体内で発生します。活性酸素種は病気の進行・悪化や老化に関わるなど生体にとって非常に有害ですが、私たちの体内には活性酸素種を消去する抗酸化機構が備わっており、活性酸素種由来のストレス毒性から自身を守っています。活性酸素種の生成や消去に関わる因子はこれまでにも複数見出されていましたが、その全体像は不明でした。今回、本研究グループは、ヒト全遺伝子に対して網羅的な機能阻害スクリーニングを行い、過酸化水素や活性酸素種によるストレス毒性の制御に関わる遺伝子群の発見に成功しました。そのなかには、既知の抗酸化酵素群や鉄代謝関連因子等に加えて、カタラーゼやそれを細胞内小器官ペルオキシソームへ輸送する複数の因子(PEX遺伝子群)が含まれていました。これらは、以前の藤木らのグループによる、ペルオキシソームから放出されたカタラーゼが抗酸化ストレス反応を担うという発見(Hosoi et al., J. Cell Biol. 2017; 2017年2月8日付 本学プレスリリース)と合致する結果であり、カタラーゼの細胞内局在制御の重要性が再認識されました。さらには、ストレス抵抗性獲得におけるグルコースから五単糖類の生合成経路の重要性も見出しました。
本研究の成果は、細胞のストレス毒性に対するペルオキシソームの抗ストレス機能の解明に繋がるだけでなく、さらには、活性酸素種が関与する病気や老化の進行等に対する今後の治療法開発や創薬研究において、本成果で同定された遺伝子群が重要な研究リソースとなることが大きく期待されます。
図1.活性酸素種に対する抵抗性関与因子の概略図。網羅的な解析により、機能阻害によりストレス感受性が増加(水色)、あるいは減少する遺伝子(黄色)が多数同定された。なかでもカタラーゼのペルオキシソーム内への輸送をはじめとする細胞の活性酸素種に由来するストレス毒性への多様な対抗戦略が明らかとなった(ピンク色)。
大学国際化をにらんだ“世界トップスリー”大学との研究者派遣・招聘と共同研究の特筆すべき成果として評価される。