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細胞膜表面と逆の親水基構造を有する導電性高分子
~細胞に対する特異な接着能を示す導電性材料の開発に成功~

公開日:2020.02.18

 

研究成果 理学 工学

 導電性高分子は電気が流れるプラスチックとして白川英樹博士らにより発見され、その功績によってノーベル賞を受賞しています。近年、導電性高分子は従来の金属電極に比べ柔軟性が高く、合成手法によってナノレベルの分子設計が可能であることから、生体情報デバイスやバイオセンサーの電極として着目されています。例えば、細胞膜を形成するリン脂質の構造として知られるホスファチジルコリン(PC)基を有する導電性高分子は、高い生体適合性を有する電極として、バイオセンサーとして利用可能な事が報告されています。九州大学先導物質化学研究所の高原淳教授、向井理特任助教および国立台湾大学 羅世強(ロウ シーチャン)准教授らのグループは、PC基の逆構造であるコリンフォスフェート(CP)基を有する導電性高分子を初めて合成しました。PC基とCP基を有する導電性高分子の生体接着性をタンパク質の1つであるウシ血清アルブミン(BSA)および細胞の1つであるNIH3T3の接着性から評価しました。その結果、BSAはPC基を有する電導性高分子とCP基を有する導電性高分子のどちらにも接着性は見られませんでしたが、NIH3T3はCP基を有する導電性高分子にのみ接着性が見られました。CP基とPC基の接着メカニズムを明らかにすることで、生物がなぜPC基を細胞膜に選んでいるのかといった謎の解明や、新規の生体情報デバイスの開発に役に立つと思われます。本研究成果は、英国王立化学会の国際学術誌「Chemical Communications」オンライン版で2020年2月3日(月)(英国時間)に発表されました。

参考図:細胞膜を形成する脂質の分子構造および導電性高分子の分子構造。細胞膜と同じ、PC基を有する導電性高分子は細胞がくっつかないが、PC基の逆構造であるCP基を有する導電性高分子は、顕著な細胞接着能を示した。

研究者からひとこと

コリンフォスフェート(CP)基を有する高分子の研究を始めた当初は、原料が簡単に分解したり、副生成物が生じたりと非常に苦労しました。それだけに、本研究のような顕著な違いが現れた時は、びっくり半分ではありましたが、とてもうれしかったです。

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