NEWS

遂にとらえた!福島第一原発から放出された微粒子状プルトニウムの姿

 
プルトニウム含有燃料デブリの性状と放出・拡散プロセス

公開日:2020.07.13

 

研究成果 Physics & Chemistry

 九州大学大学院理学研究院 宇都宮聡准教授、理学府修士課程(研究当時)の栗原英太郎らの研究グループは、これまで存在が予想されながらもその粒子の細かさから解析が難しかったプルトニウム(Pu)含有燃料微粒子を含む粒子を福島県の土壌から初めて発見し、多角的な先端微細分析を駆使してナノレベルでの解析に成功しました。国立極地研究所、筑波大学、東京工業大学、フィンランドHelsinki大学、スイスPaul Scherrer研究所、英Diamond放射光、仏Nantes大学、米Stanford大学とともに原子力災害からの福島の復興に貢献することを目指して行われた共同研究の成果です。
 2011年におきた原子力災害により、一部の放射性セシウムが水に溶けにくい高濃度放射性セシウム含有微粒子(CsMP)として環境中に放出され、関東地帯まで拡散しました。本研究はCsMPから燃料微粒子を発見し、最先端の二次イオン質量分析やシンクロトロン放射光マイクロビームX線分析、原子分解能電子顕微鏡を駆使してウラン(U)とPuの同位体分析、化学種の同定を行いました。その結果、CsMP内部にU(IV)O₂ナノ結晶を同定するとともに、U濃集部におけるPu、ジルコニウム(燃料被覆管の成分)の局在化を示すことに成功しました。さらに、燃料微粒子中のUとPuの同位体比²³⁵U/²³⁸U、 ²⁴⁰Pu/²³⁹Pu、そして ²⁴²Pu/²³⁹Puはそれぞれ〜0.0193、〜0.347、〜0.065と決定され、計算コードで算出された照射燃料の値と一致しました。
 これらの結果から、Puは燃料微粒子としてCsMPに取り込まれて環境中に放出・拡散されたこと、かつ、炉内に残された燃料デブリ中においてPuがナノスケールで不均質に分布することを部分的にですが直接示すものであり、これから長期にわたる廃炉工程・燃料の取り出しのために必要なデブリ性状把握に貢献できると期待されます。
 本研究は、文部科学省の科学研究費挑戦的萌芽研究(16K12585)・公益財団法人三菱財団自然科学研究助成(29102)の支援を受けて行われたものです。また本研究成果は令和2年7月12日(日)(日本時間)に「Science of the Total Environment」に掲載されました。

(a) 燃料微粒子を含有しているCsMPのSEM像と元素マップ。(b)µビーム蛍光X線(XRF)元素マップ。(c)ウラン酸化物の高角環状暗視野走査透過電子顕微鏡像。(d)ウランのX線吸収端近傍スペクトル。(e)図(b)の赤い矢印部分から得られたPuのX線吸収端近傍スペクトル。

研究者からひとこと

多大な労力と時間がかかりましたが、国内、海外の共同研究者の協力によって非常に重要な成果を公表することができました。これでプルトニウムがどのような形態で環境中、原発炉内に存在しているか、その一端が分かったと思います。同様のデブリ片を精査し続け、正しい情報を提供していきたいと考えています。

論文情報

Particulate plutonium released from the Fukushima Daiichi meltdowns ,Science of The Total Environment,
https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2020.140539

研究に関するお問い合わせ先

このページの一番上に戻るこのページの一番上に戻る