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薩摩硫黄島における鉄チムニーマウンドを発見

 
~初期地球海底のモダンアナロジー~

公開日:2021.01.12

 

研究成果 理学

 鹿児島県薩摩硫黄島の長浜湾では、湾内から鉄に富む温泉が流出しており赤茶けた様相を呈しています。この赤い海の底について、長期にわたる研究により今まで知られていなかった海底の世界が明らかになりました。

 薩摩硫黄島長浜湾の水深は3-7mですが、水酸化鉄でオレンジ色に染まる海底は、昼間でも太陽光線がほとんど入らない薄暗い世界であり、大型生物がほとんど見られません。九州大学大学院理学研究院の清川昌一准教授らの研究グループ(※)は、この急速に貯まった水酸化鉄層を伴う海底において、熱水湧水に伴う水酸化鉄チムニーマウンドを世界で初めて発見しました。この鉄マウンドは、湾形成後30年ぐらいで形成したと考え、CTスキャン観察や顕微鏡観察、DNA測定により、鉄酸化細菌の活動で形成したものであることを明らかにしました。

 水深数mでの鉄沈殿層の堆積と水酸化鉄チムニーマウンドの発見は、まさに現代版の鉄鉱層形成場です。地球上で使われている鉄鉱石は、約23-25億年前の地球表層が酸素大気に変わっていく頃に縞状鉄鉱層として作られています。その成因は、未だ多くの議論があり決着されていません。本地域の研究は、具体的な水酸化鉄がどのように海底で形成し、地中に保存されていくかのモダンアナロジーであり、初期地球の地球海洋環境を考える上で重要な指針を与えてくれるとともに、将来の鉄資源のあり方を考えさせてくれます。

 本研究の成果は、2021年1月11日に「Geological Society of America Bulletin」にオンライン掲載されました。

 

【※研究グループ】
・九州大学 大学院理学研究院 准教授 清川 昌一
 (兼 高知大学海洋コア総合研究センター 客員教授)
・九州大学 大学院理学府 大学院生 倉富 隆(研究当時)
・高知大学 海洋コア総合研究センター 教育研究部自然科学系理工学部門 教授 池原 実
・海洋研究開発機構 超先鋭研究開発部門 高知コア研究所 地球微生物学研究グループ
 主任研究員 星野 辰彦
・産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地圏資源環境研究部門 燃料資源地質研究グループ
 主任研究員 後藤 秀作

【研究助成】
本研究はJSPS科研費JP18654086,JP22340151,JP22253008,JP25287132,JP26257211,JP20H01996の助成を受けて実施しました。
高知大学海洋コア総合研究センター/地球掘削科学共同利用・共同研究拠点との共同研究の成果です。

 

参考図

(a)薩摩硫黄島長浜湾

(b)水酸化鉄チムニー

(c)チムニー薄片の顕微鏡観察

(d)チムニーのCT画像

研究者からひとこと
薩摩硫黄島長浜湾に着いたとき、その赤茶けた海底の底に何が起こっているか無性に調べたくなりました。研究手法は深海底探査と同じ、地形、地質断面、試料採取、ダイビング、長期観測で小規模の予算で実施できました。何度かダイブを行い、初めてチムニーマウンドを見たときは、まさに「しんかい6500」に乗っている気分でした。

論文情報

タイトル:
著者名:
Shoichi Kiyokawa, Takashi Kuratomi, Tatsuhiko Hoshino, Shusaku Goto, Minoru Ikehara
掲載誌:
Geological Society of America Bulletin
DOI:
https://doi.org/10.1130/B35782.1

 

研究に関するお問い合わせ先

理学研究院 清川 昌一 准教授

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