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11月に九州初の大型燃料電池バスが、九州大学の伊都キャンパスとJR筑肥線の九大学研都市駅を結ぶ路線の一般運行を開始します。本燃料電池バスは、九州大学水素ステーションで製造するクリーンな水素を動力源としています。
大学院芸術工学府と大学院統合新領域学府の大学院生らは、水素ステーションを訪れ、工学研究院の立川雄也准教授から燃料電池バスのしくみと水素エネルギーの利点について学び、日本人学生と中国人学生からなるサイエンスデザインチームと、日本人学生、中国人学生、イタリア人学生からなるアナザーワールドデザインチームの2チームに分かれ、燃料電池バスのデザイン制作に取り組みました。
8月3日に行われた審査会では、水素ステーションで実証事業を行う工学部、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、九州電力株式会社、東芝エネルギーシステムズ株式会社、昭和自動車株式会社、西日本プラント工業株式会社のほか、水素利活用を推進されている福岡県庁、福岡市役所、糸島市役所の方々が審査員となり、各チームのデザインの審査を行いました。
学生たちのデザインをディレクションする芸術工学研究院の池田美奈子准教授は、審査会について以下のようなコメントを述べています。「燃料電池バスのデザインから、より多くの学生や一般の人々に燃料電池バスについて知ってもらい、乗客が将来のエネルギーや電力、地球環境について考えるきっかけにしてもらいたいと思っています。」
また、サイエンスデザインチームの日本人学生は次のような感想を寄せています。「科学の専門的な知識があまりないので難しかったですが、それと同時にとても面白かったです。私たちは、水素と酸素が反応して水と電気を作るという燃料電池の仕組みに着目し、その仕組みが乗客に伝わるようなデザインを考えました。デザインには『このバスに乗れば、あなたもシステムの一部となり、よりクリーンな環境に貢献できる』というメッセージを込めています。」
一方で、アナザーワールドチームは燃料電池バスのしくみの説明よりも感情を重視し、デザインだけでなく走行中の車内環境音も制作しており、制作したデザインについて以下のように述べています。「科学的な概念をシンプルに表現したいと考えました。落ち着いた未来的な雰囲気を作り出す色と音を選び、水素と水の関係を表現するために、小さな粒子でできた波のパターンを使ってデザインを制作しました。」
審査会では各チームのプレゼンテーションの後、審査員によるアドバイスや前向きなコメントがあり、学生たちとの議論の後に、投票が行われました。今後は、大学院工学府の学生たちとのコラボレーションによって、サイエンスコミュニケーションをブラッシュアップします。
燃料電池バスの最終デザインは、11月の開会式で発表される予定です。
芸術工学研究院 准教授 池田美奈子
Mail:ikeda★design.kyushu-u.ac.jp
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