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2026年1月7日(水)、九州大学が加盟する国際大学コンソーシアム RENKEI(日英) の枠組みのもと、グレイトブリテン・ササカワ財団の支援を受けて英国・ダラム大学教員が九州大学を訪問し、公開セミナーが開催されました。本セミナーは理学研究院の佐々木江理子准教授によって主催されたものです。
講師を務めたのは、植物の RNA biology を軸に、トランスポゾンと宿主植物の共進化を研究している Jungnam Cho 博士(Department of Biosciences, Durham University, UK)です。
講演タイトルは “Arms race of transposons and host plants(トランスポゾンと宿主植物の軍拡競争)” で、両者の間で続く終わりなき攻防の実態が、最新の研究成果とともに紹介されました。
トランスポゾン(転移因子)は、真核生物のゲノム内を移動することができる、広く存在する DNA 配列です。その可動性ゆえに、トランスポゾンは「両刃の剣」として作用します。すなわち、遺伝子を破壊したり突然変異を引き起こしたりする一方で、遺伝的多様性を高めることで進化を促進する役割も担っています。
これまでの研究の多くは、主にエピジェネティックなサイレンシングを通じて、細胞が転写段階でどのようにトランスポゾンを抑制しているかに焦点を当ててきました。しかし、転写後の段階でトランスポゾンがどのように制御されているのか、あるいはトランスポゾンが宿主による抑制機構をどのようにして積極的に回避するのかについては、これまで十分に注目されてきませんでした。
本セミナーでは、Cho 博士の研究室での最新の研究成果をもとに、これまで見過ごされてきた RNA レベルにおけるトランスポゾン制御の新たな層と、一部のトランスポゾンが宿主の防御機構を回避するために用いる独自の戦略について紹介されました。
講演は英語で行われ、研究者や学生を中心に、多くの参加者が対面およびオンラインで聴講しました。質疑応答では活発な意見交換が行われ、トランスポゾン研究の未解明領域や今後の研究展開に対する参加者の高い関心がうかがえました。本セミナーは、基礎研究が切り拓く生命科学の新たな視点を示す、貴重な機会となりました
本学では、RENKEIをはじめとする国際大学連携コンソーシアムを活用し、長期的な研究・教育連携ネットワークの構築を目指しています。今後もこのような機会を通じて、国際的な研究交流のさらなる深化を図っていきます。
セミナー中の Jungnam Cho 博士
佐々木 江理子(理学研究院 生物科学部門)(セミナー主催者)
Email: sasaki.eriko.997★m.kyushu-u.ac.jp
国際部国際企画課国際連携係(国際大学コンソーシアム担当)
Email: intlsenryaku★jimu.kyushu-u.ac.jp
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