Notices お知らせ

ノルウェー式“雨水循環”に関する九州大学の知見を共有し、 自然に即した分譲地開発に貢献

街の水問題・生態系の危機を「宅地の土中」から解決 2025.05.27
お知らせ

 近年、宅地造成や都市のインフラ整備によって、地表に降った雨水が地中に浸透しにくくなった結果、地下水の枯渇・生態系の乱れといった問題が深刻化しています。特に熊本地域は、日本有数の降水量と地下水資源を誇り、生活用水の8割以上を地下水に頼る“水の都市”にもかかわらず、コンクリートやアスファルトで覆われた開発により、本来の水の循環が妨げられつつあります。
 このたび、九州大学大学院芸術工学研究院 木藤健二郎准教授が、これまでのノルウェーでの雨水管理の知見を株式会社アネシス(本社:熊本市)へ共有し、株式会社アネシスが提案する分譲地開発における新たな「土中環境」の構築に貢献いたしました。ノルウェー語で「環境」を意味するプロジェクト名「MILJØ(ミリヨ)」のもと、自然と調和した都市環境の創出と、持続可能な地域社会の実現を目指しています。

用いる技術のポイント

  1. 地表の水のみち
    ノルウェーの雨水管理をお手本に、地表のいろいろな方向に雨水を分散させ、流した先に、少しずつ土中へと導く仕掛けを設けます。
  2. 土中の水のみち(右図参照)
    日本古来の土壌改善をお手本に、焼杭、藁、落ち葉などを用いて菌糸の生育を促して隙間が多く水と空気が自由に動き回れる健全な土壌の構造をつくります。
  3. 「雨庭」構造の導入
    雨水を一時的に地表や砂利を混ぜた土中に留め、地中へとゆっくり浸透させる雨庭を設けます。

   4.街スケールの水のみち(左図参照)
     将来的には水のみちを住宅地全体に展開することで、豪雨被
     害の激甚化に伴い増えている既存雨水インフラへの負荷を低
     減します。各庭の焼杭や雨庭に加え、浸透型の水路、街路植
     栽、焼杭を用いた造成方法などを連携させて街スケールの水
     のみちを創出します。
   5.効果の定量評価
     浸透能を継続的にモニタリングすることで、浸透能の改善効
     果・経年変化・必要に応じたメンテナンスの効果等を評価し
     ます。

メディア関係者発表会「アネシスMILJØ(ミリヨ)プロジェクト発表会」を開催します!

日 時:2025年6月3日(火) 11:00~12:00
会 場:九州大学大橋キャンパス デザインコモン2階
内 容:MILJØプロジェクトのコンセプト発表、分譲地開発における“土中環境”の可能性 他
公式ホームページ:https://miljo.jp/
※取材をご希望の方は、下記お問い合わせ先までご連絡いただきますようお願いいたします。

お問い合わせ

大学院芸術工学研究院 准教授 木藤健二郎
電話:092-553-4479
Mail:kenkito★design.kyushu-u.ac.jp
※メールアドレスの★を@に変更してください。