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九州大学とCalyx Globalがカーボンクレジット市場の透明性と品質向上に向けて連携

2025.06.18
お知らせ

 国立大学法人九州大学(所在:福岡県福岡市、総長:石橋達朗)(以下「九州大学」)と世界的なカーボンクレジット評価機関であるCalyx Global(所在:米国コロラド州、代表:Donna Lee及びDuncan Van Bergen)は、このたびカーボンクレジット市場における透明性向上と持続可能性強化のための連携を開始しました。
 近年、気候変動対策の一環としてカーボンクレジット市場が注目を集めていますが、その市場にはいくつかの課題があります。特に、信頼性と透明性の欠如、追加性の確保の難しさ、二重計上のリスク、そしてクレジットの品質のばらつきが問題として指摘されています。これらの課題に対応するためには、厳格な測定・評価・検証(MRV)の仕組みの確立と、環境・社会・ガバナンス(ESG)視点を含めた包括的な評価が不可欠です。
 九州大学都市研究センターは、サステナブルファイナンスやESG研究において世界有数の研究実績を有しており、Calyx Globalの信頼性の高い格付けデータを活用して、カーボンクレジットの質を考慮した企業パフォーマンスへの影響、市場での評価、またESGパフォーマンスとの関係性を分析を通じて明らかにします。本研究連携は、九州大学都市研究センターのセンター長である馬奈木俊介教授と、同センターのキーリーアレクサンダー竜太准教授によってリードされており、Calyx Globalのカーボンクレジット格付けデータと企業価値との関係性を明らかにする共同研究の組成は世界初の取り組みです。これにより、現在までに見えてきたカーボンクレジット市場の課題の解決につながることが期待されます。
 また、両者の連携により、プロジェクトが実際に温室効果ガス(GHG)の削減に寄与しているか、地域社会や自然資本にポジティブな影響を与えているかを総合的に評価する科学的かつ包括的な手法の開発・運用も推進されます。これにより、質の高いクレジットの普及と、より信頼性の高い市場形成が促進されることが期待されています。

Calyx Globalについて

 Calyx Global(カリックス・グローバル)は、独立したカーボンクレジットの格付けプラットフォームとして、グローバル市場における信頼性と透明性の向上を目指す企業です。Calyx Globalは、1,000件近いプロジェクトに対して、GHG排出削減の真正性(Integrity)やSDGs(持続可能な開発目標)への貢献、社会的・環境的リスク評価を行っており、市場参加者が質の高いクレジットを選定できるよう支援しています。
 同社の評価手法は、プログラム・方法論・プロジェクトの3層にわたるピアレビュー済みの評価フレームワークを採用しており、クレジットのGHG整合性やSDGs貢献度をスコアリングすることにより、全体像を可視化します。また、自然ベース(REDD、植林など)から技術ベース(工業、バイオガス、再エネなど)まで多様なプロジェクトを対象としており、ボランタリー・カーボン市場(VCM)の健全な成長と持続可能性の実現を牽引しています。

 

馬奈木俊介教授からひとこと

 信頼性と持続可能性を備えたカーボンクレジットの可視化は、未来の気候政策と企業戦略の土台となります。Calyx Globalとの連携により、質の高いクレジットが正当に評価される市場の実現を目指します。

お問い合わせ

大学院工学研究院 環境社会部門 都市交通工学研究室

電話:092-802-3401
Mail:lab.managi★gmail.com
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