Notices お知らせ
九州大学大学院農学研究院資源生物科学部門(農学部附属農場)の森田康広准教授の研究グループでは、(株)佐々木と共同で、キノコ(アラゲキクラゲ:Auricularia auricula-judae)を用いた地域循環・環境負荷低減型畜産システムの構築に関する実証研究を開始する。
本研究では、営農型太陽光発電下での栽培が普及しつつあるアラゲキクラゲを反芻家畜(ヤギやウシ)に飼料として給餌することで、反芻家畜の消化器内で有益微生物を増加させ、反芻家畜の健康維持や飼料利用効率の向上させることで、畜産の生産性向上と環境負荷低減を両立させることを検証する。
本研究により、再生可能エネルギー業界と畜産業界の連携による持続可能な地域循環・環境負荷低減型畜産システムの確立を目指す。
研究の背景と経緯
反芻家畜は地球温暖化の原因となる温室効果ガスを排出するため、畜産現場では飼養管理体型全体としての環境負荷低減が課題となっており、生産性向上のみならず、環境に配慮した持続可能で実践的な経営が求められている。畜産における営農型太陽光発電の導入では、これまでソーラーパネル下での牧草栽培や放牧が試みられてきたが、日照条件や機材配置の制約により実用化は難航している。
一方、本研究で注目するキノコは遮光環境を好むため、ソーラーパネル下での栽培に適しており栽培が普及しつつある。キノコの中でも国産品が少ないキクラゲは需要が伸びており、栽培が比較的容易なアラゲキクラゲが日本で盛んに生産されるようになった。アラゲキクラゲは多糖類など機能性成分が豊富であることから、反芻家畜の飼料として用いることにより、腸内微生物叢の改善を通じて家畜の健康増進、飼料効率向上による生産性向上、環境負荷低減も期待されている。
本研究では、ソーラーパネル下で栽培されるキノコを畜産飼料として利用し、環境負荷低減だけでなく、生産性の向上にも貢献するという、真にエコフレンドリーな地域循環モデルを実証する。
研究者からひとこと
キノコ栽培を通じて再生可能エネルギー事業と環境負荷低減型畜産を組み合わせた「カーボン・ニュートラル型酪農モデル」を構築し、アジアをはじめ、国際的にも展開していく予定です。
農学研究院 准教授 森田康広
電話:092-802-4531
Mail:morita.yasuhiro.362★m.kyushu-u.ac.jp
※メールアドレスの★を@に変更してください。