Notices お知らせ
ポイント
①九州大学は、水素材料先端科学研究センター、水素エネルギー国際研究センター、次世代燃料電池産学連携研究センターを統合し、2026年4月1日付で「サステナブル水素研究所(HYDROGENIUS)」を設立します。
②新研究所では、水素の製造、輸送・貯蔵、利用に加え、社会実装を見据えた連携研究を含む体制を整え、九州大学の総合知を結集し水素エネルギー社会の実現に向けた取り組みを加速します。国際公募等を通じて、国内外の第一線研究者の参画を進め、水素分野の研究・人材育成・標準化・社会実装を世界水準で推進します。
③シニアアドバイザーに元・米国エネルギー省 水素・燃料電池技術室 室長(Director, Hydrogen and Fuel Cell Technologies Office(HFTO), U.S. Department of Energy(DOE))のスニータ・サティヤパル博士(Dr. Sunita Satyapal)※ が就任し、国際連携を一層強化します。
I.概要
九州大学は、水素分野における豊富な実績、設備、人材を統合し、水素の製造、輸送・貯蔵、利用から社会実装までを見据えた研究拠点として、「サステナブル水素研究所(Hydrogen Institute for Sustainability、略称:HYDROGENIUS)」を2026年4月1日に設立します。本研究所は、学内の水素関連3センターの統合により、分野を横断した基礎研究から実用化研究までの連携加速、戦略策定と意思決定の迅速化を図ります。また、研究成果の国際発信、国際標準化への貢献、産学官連携による社会実装、人材育成を推進し、九州大学が掲げる「脱炭素」ミッションを牽引します。
II.背景
気候危機や地政学的リスクの高まりを背景に、エネルギー安全保障とGX(グリーントランスフォーメーション)は世界的な重要課題となっています。その中で水素は、電力・運輸・産業の脱炭素化を支える戦略的エネルギーとして期待されています。九州大学は、「脱炭素」を大学のミッションの一つとして掲げ、伊都キャンパス移転期以降(2005年~)に水素関連3センターを順次整備し、研究・教育・社会実装を継続的に推進してきました。今後の水素エネルギー社会の早期実現には、学内外の多様な資源を横断的に結集した研究・社会実装体制の強化が不可欠です。
III.サステナブル水素研究所の設立について
1.統合する既存3センター
2.関連研究所との連携
本研究所は、水素分野における研究・社会実装を一体的に推進する拠点として、カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER)と緊密に連携し、エネルギー科学分野における基礎研究から社会実装までの連続性を強化します。両研究所は、相互補完的な関係のもとで、水素エネルギー社会の実現に向けた研究、国際連携および人材育成を推進します。
3.研究所の特徴
(1) 4つの研究部門
本研究所の研究活動は、以下の4部門を中心に推進されます。
(2)水素バリューチェーン全体を俯瞰した研究・開発・実証の推進
本研究所では、4部門の連携により、水素バリューチェーン全体を俯瞰した研究・開発を推進します。連携研究を通じて、研究成果の実証を行い、社会実装につなげます。
(3) SIF構想に基づく推進体制
九州大学が構想する「知識基盤-技術基盤-技術統合/システム化(SIF) 注1」の考え方に基づき、研究成果を社会課題解決へとつなげる仕組みを強化します。また、研究担当理事・副学長が所長として、研究所全体の運営および研究の方向性を統括し、分野横断型の研究推進と社会実装を効果的に進めます。
(4) シニアアドバイザーの配置による国際連携強化
本研究所では、国際的な研究動向や政策動向を的確に捉え、研究活動の国際展開を進めるため、国際的な視点から助言を行うシニアアドバイザーを配置し、研究戦略の策定、標準化、国際連携、社会実装に関して助言を行う体制を構築します。シニアアドバイザーには、米国エネルギー省(DOE)で水素・燃料電池分野の研究開発・実証・導入を主導してきた Dr. Sunita Satyapalが就任します。政府・産業界・学界を横断した豊富な経験を活かし、国際的な研究動向や政策動向を俯瞰しつつ、本研究所における研究活動の国際展開に寄与します。さらに、国際公募等を通じて、国内外の第一線研究者の参画を継続的に進めます。
※ Sunita Satyapal 博士について
政府、産業界、学術界において30年以上の経験を有する、水素および燃料電池分野の国際的に著名な専門家であり、国際的に同分野を牽引してきた研究者です。研究者、客員准教授としての経歴に加え、米国エネルギー省(DOE)水素・燃料電池技術室のチーフエンジニア兼ディレクター、さらにユナイテッド・テクノロジーズ社における研究開発(R&D)および事業開発・ステークホルダー連携を担当するマネージャーなど、多様な役割を歴任してきました。
産業界および政府における研究開発の統括、戦略策定、数十億米ドル規模に及ぶ水素関連研究開発資金の調整、ならびに25か国以上との国際的な水素パートナーシップを通じた協働を主導してきた実績を有します。
コロンビア大学にて博士号を取得後、コーネル大学において応用物理学・工学物理学分野のポスドク研究を行いました。Scientific Americanを含む多数の論文発表、10件の特許、ならびにMeritoriousおよびDistinguishedの米国大統領からの大統領ランク賞をそれぞれ受賞するなど、多くの顕著な業績を有します。
IV.今後の展望
本研究所は、九州大学がこれまで培ってきた水素研究の強みを核に、基礎研究から社会実装までを統合した「新たな水素学」を構築します。そして、安全性と信頼性に根ざした技術革新を土台として、産学官・国際機関との協働を一層拡大し、国際標準化や人材育成を含む総合的な取り組みを通じて、水素エネルギー社会の実現を推進します。また、重点領域に資源を集中しつつ、分野横断型の協働を促進することで、国内外のパートナーとともに、九州から世界へ、持続可能で包摂的な脱炭素社会の実現に貢献します。
用語解説
注1:SIF(Social Impact Framework):社会課題からバックキャストして課題解決プロセスを明確化したうえで、基礎‐応用‐実用化の3層の研究チームが一体的に研究を推進することで、これまでにないスピードと確度で社会実装を達成することを主眼に置いた研究フレームワークとして、九州大学が構想しているもの。既に2025年度から本学に設置する未来社会デザイン統括本部で試行運用が始まっている。
I2CNER・Q-PIT共通事務支援室
電話:092-802-6930
Mail:iqshitsucho★jimu.kyushu-u.ac.jp
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