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Notices お知らせ

いつもの心電図の「自動判定」に、右心の異常を疑う手がかり

〜医学部6年生が単著で国際誌に発表、約4万2千人のデータを解析〜 2026.10.27
お知らせ

ポイント

  • 医学部6年生が約4万2千人のデータを解析し、単著の原著論文を国際学術誌に発表した。
  • 心電図の自動判定「右軸偏位」「右室肥大」が、右心の異常を疑う手がかりとなる可能性を示した。

概要

九州大学医学部医学科6年の渕上由祐氏が、単著の原著論文を国際学術誌「Echocardiography」に2026年7月13日付で発表しました。健康診断の結果票でも目にする「右軸偏位」「右室肥大」という心電図の自動判定に着目し、心臓の右側(右心)の異常との関連を調べた研究です。

肺の血管の圧が高くなる「肺高血圧」は、肺へ血液を送る右心に負担をかけ、右心不全につながることがあります。研究では、米国の入院患者42,078人について、心電図と心エコー(心臓の超音波検査)の結果を対応づけ、計68,905組のデータを解析しました。年齢や持病などの違いを考慮すると、肺高血圧を疑う心エコー所見の推定割合は、「右軸偏位」「右室肥大」の二つの自動判定のうち少なくとも一方が表示された場合で30.0%、どちらも表示されない場合で18.8%と、約1.6倍でした。また、これらの表示は、右室の拡大や働きの低下とも関連していました。

論文発表後には、海外の研究者から研究内容に関するコメントが寄せられました。追加解析を行い、その結果をまとめた回答論文も同誌に発表しました。さらに、右軸偏位の記録後の心エコー再検査でみられる右室の働きの低下へと研究を発展させ、2026年10月には学会でも成果を発表しました。

日常の検査ですでに得られている情報が、さまざまな診療の場で右心の異常に目を向け、心エコーによる詳しい評価を検討するきっかけになることが期待されます。

渕上氏からひとこと

家族を右心不全で亡くした経験から、研究を始めました。
心電図を読む専門知識がなくても、結果に添えられた言葉が、自分の身体の状態を気にかけるきっかけになればと考えています。

九州大学大学院医学研究院 循環器内科学 阿部弘太郎 教授よりコメント

本研究は、多くの医療機関ですでに日常的に得られている心電図の「自動判定」という情報に、新たな価値を見いだした点に意義があります。

渕上さんは、研究の問いを立てるところから、データの解析、論文の執筆、さらに査読者からのコメントに対する追加解析と回答まで、すべてを一人でやり遂げました。医学部の授業や実習と並行しながら単著で国際誌に原著論文を発表したことは、学生として特筆すべき成果であり、学生の段階から国際的な学術の議論に加われることを示すものです。

今後は、長期の臨床的な転帰との関連や、外来の患者さんや日本国内のデータでも同様の関連がみられるかを確かめ、循環器の専門医が少ない地域を含む幅広い診療の場で、詳しい検査を検討するきっかけとして役立つかを検証していくことが重要だと考えています。

論文情報

〈原著論文〉
掲載誌:Echocardiography
タイトル:Machine-Reported Electrocardiographic Right Axis Deviation or Right Ventricular Hypertrophy and Echocardiographic Pulmonary Hypertension Phenotypes and Right-Heart Abnormalities
著者名:Yoshihiro Fuchigami
DOI:10.1111/echo.70539

〈回答論文〉
掲載誌:Echocardiography
タイトル:Reply to “From Association to Action: Clarifying the Incremental Value of Machine-Reported RAD/RVH”
著者名:Yoshihiro Fuchigami
DOI:10.1111/echo.70580

お問い合わせ

九州大学大学院医学研究院 循環器内科学 教授 阿部 弘太郎

電話:092-642-5355
FAX:092-642-5374
Mail:kyushu-u★junnai.org
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