Research 研究・産学官民連携

多様で包摂的な社会のためのアートとデザイン

芸術工学研究院 研究紹介

多様で包摂的な社会のためのアートとデザイン

芸術工学部 未来構想デザインコース
(芸術工学研究院 コミュニケーションデザイン科学部門)
准教授 中村 美亜

社会の中のアート

近年、社会のさまざまな場でアート(美術・音楽・舞踊・演劇・文学などのさまざまな表現活動)が行われています。地域を元気にするアート、災害やDVなどのトラウマからの回復を促すアート、障害のある人・認知症の高齢者・経済的困難を抱える人・外国人・LGBTなど、社会の周縁に追いやられた人たちと、そうでない人たちをつなぐアート…。

アートが人を元気にし、人間関係に変化を及ぼすとすれば、そこにはどんなメカニズムがあるのか?アートのもつ力を発揮させるためには、どのような場づくりが必要なのか?—私はこうした問いに応える研究をしています。論文を書くのはもちろんですが、芸術工学研究院附属ソーシャルアートラボに所属し、研究成果を基にした政策提言やアートの現場の支援なども積極的に行なっています。

アートと社会包摂

多様で包摂的な社会の実現につながるアート活動を支援するハンドブックを、文化庁と九州大学の研究チームで制作しました。基本知識、実践のコツ、事例紹介、コミュニケーションのヒントなどが、豊富なイラストとともにわかりやすく書かれています。

文化庁と共同制作したハンドブック(文化庁と大学・研究機関等との共同研究事業)
『はじめての“社会包摂×文化芸術”ハンドブック』

『評価からみる “社会包摂×文化芸術” ハンドブック』

東京文化会館の活動についても調査を実施しました。こちらのガイドブックには、多様性豊かな社会づくりにアートがなぜ有効なのか、ワークショップをする際のファシリテーションのコツなどを記した論考や座談会の記録が、多くの写真とともに掲載されています。

包摂型社会のためのデザイン

アートのもつ力に関する知見を活用しようと、病院・行政・シンクタンク・NPOと共同して認知症ケアのデザインに関する研究を始めました。「⽀援する−される」という⼀⽅向的で固定的な関係からではなく、一人ひとりが異なる能力をもった人間どうしという関係から、認知症ケアに関わるさまざまなデザインを構想しなおしていきます。(令和3年度には芸術工学研究院に「社会包摂デザイン・イニシアティブ」という新たな研究組織が設置される予定です。)

■お問い合わせ先
芸術工学部 未来構想デザインコース
(芸術工学研究院 コミュニケーションデザイン科学部門)
准教授 中村 美亜