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米国標準化コンペ第2ラウンド 日本発のデジタル署名方式公開

――「QR-UOV」方式の仕様を公開、量子コンピュータ時代にも安全に利用可能―― 2025.01.20
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ポイント

  • 共同研究開発を進めているデジタル署名方式「QR-UOV」について、安全性証明および処理性能を向上させる実装技術を含む新たな技術仕様書を公開します。
  • 今回、提案初期と比較して処理性能が向上したことにより、効率性とコンパクトさを両立することができ、提案方式の標準化採用や社会実装に大きく前進しました。
  • QR-UOVは米国標準化コンペに提出している方式で、2024年10月に第2ラウンドへの進出が決まり、2025年9月に開催される第6回NIST PQC標準化会議で発表する予定です。

QR-UOV方式はUOV方式に比べ、データサイズは半分以下に収まり、 署名の効率性は同程度である。

概要

東京大学大学院情報理工学系研究科、日本電信電話株式会社、九州大学マス・フォア・インダストリ研究所、長崎県立大学からなる共同研究チームは、デジタル署名(注1)方式「QR-UOV」を改良し、コンパクトさと効率性を両立する新たな仕様を公開します。現在、米国の国立標準技術研究所(以下「NIST」)では、量子計算機(注2)でも解読できない新たなデジタル署名方式の標準化コンペを実施しており、今回の仕様公開は、QR-UOVの標準化コンペ第2ラウンド進出に合わせて行ったものです。QR-UOVは、多変数多項式問題(注3)の難しさを安全性の根拠としており、公開鍵および署名のデータサイズが小さいことが特徴です。量子計算機の時代においても安全かつ効率的なデジタル署名方式として、個人認証やデータ保護などに活用が可能となります。本署名方式が標準規格として採用された場合、世界中で広く利用されることが見込まれます。

なお、この新たな仕様に基づくQR-UOVについては、2025年1月28~31日に開催される2025年暗号と情報セキュリティシンポジウムSCIS2025、更には2025年9月24~26日に開催予定の第6回NIST PQC標準化会議で発表予定です。

論文情報

タイトル:QR-UOV
著者:Hiroki Furue, Yasuhiko Ikematsu, Fumitaka Hoshino, Tsuyoshi Takagi, Haruhisa Kosuge, Kimihiro Yamakoshi, Rika Akiyama, Satoshi Nakamura, Shingo Orihara,  Koha Kinjo
会議名: NIST Post-Quantum Cryptography: Round 2 Additional Signatures
https://csrc.nist.gov/Projects/pqc-dig-sig/round-2-additional-signatures