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大学院工学研究院 応用化学部門の安達 千波矢 主幹教授が「2025年度 江崎玲於奈賞」受賞者に決定しました。江崎玲於奈賞はナノサイエンスおよびナノテクノロジー、または量子効果が顕わに関わる物性に関する研究に携わり、新分野の開拓が期待できるとともに世界的に高い評価を得た研究業績を挙げた研究者に贈られる賞です。
安達 千波矢(大学院工学研究院 応用化学部門 主幹教授)
有機二重ヘテロ構造の構築と新しい発光分子の創製による有機LEDの高性能化
安達主幹教授の研究は、現在、携帯電話や薄型大型TV等に幅広く用いられている有機発光ダイオード(OLED: Organic Light-Emitting Diode)(有機EL)のデバイス構造から新材料開発まで、OLEDの科学技術の発展に多大な寄与を果たしてきました。
有機デバイスにおける基礎となるダブルへテロ(Double hetero(DH))構造の構築、電荷注入・輸送・再結合過程の基礎物性の解明と共に素子の劣化機構解明も進め、実用に耐えうる材料・デバイスの設計指針を包括的に明らかにしてきました。
2012年には、巧みな分子設計によって、高速スピン変換を可能とした熱活性化遅延蛍光(TADF:Thermally ActivatedDelayed Fluorescence)材料を創出しました。TADF材料はイリジウムなどの貴金属等を含有しない安価な芳香族化合物からなる発光分子を用いて内部量子効率100%を達成し、次世代の有機EL用発光材料として世界的に研究開発が進められています。